【Business】やってはいけない小規模ビジネス Top 10 フィリピン版

先日、フィリピンの現地紙において、現在のドゥテルテ政権下で外国資本投資の規制緩和が一気に進み、多くの分野において100%の外国資本投資が認められる可能性が出てくるとのニュースが報じられた。フィリピンでは国内の産業を保護する目的で、外国資本の投資に関して規制・禁止される業種が定められているが、規制緩和が行われると、日本人もこれまでにできなかったような分野への投資が可能となる。しかし投資が簡単にできるビジネスほど落とし穴は大きい。

東南アジアの中でも日本から最も近く英語圏であるフィリピン。アクセスやコミュニケーションが容易なためか、フィリピンと付き合いが長い方なら、リタイアメント組や、現地在住のビスネスオーナーなどから、おいしそうな投資話を囁かれた経験が一度はあるだろう。

本コラムでは、主にフィリピン人、在住日本人が「現在簡単に始められるビジネス」だと認識していたり、既に競争が激化しているビジネス、また投資話が今後増えてくるであろうビジネスについて紹介したい。
(※本稿は、フィリピン人ビジネスライターのブログや、欧米系投資家のコラム、また現地で実際に行われているスタートアップビジネスの口コミや所見をもとに、独自の視点でまとめたものとなっています。あくまで読み物としてご参考にして頂ければ幸いです。)

第10位 コンビニのフランチャイズ経営

向こう5年で2倍程度の規模に成長すると予測されているのが、フィリピンのコンビニ市場。日系大手5社が進出しているが、中でもセブンイレブンの店舗数は爆発的に伸びている。セブンイレブンに関しては、もともとは初期投資額が350万ペソ程度であったが、最近では、条件に応じて100万ペソ以下でフランチャイズ契約ができるようになったことが拡大の主な理由であると思われる。確かに今はチャンスと言えるが、日本人ならば複数のコンビニが所せましと乱立した場合の行く末をご存知のはず。競合は同じ日系のコンビニである。知見を活かして、立地条件にこだわり、慎重に検討すべき。

第9位 コインランドリー経営

ここ1年で急速に認知されてきており、フィリピン中至るところでコインランドリービジネス始まっている。既に現地の個人商店オーナーや、若者が数人で共同経営するレベルでも立ち上げが始まっており、資金も100万円以下で始められるため、今後乱立は間違いない。機材、設備は中国などからの輸入で行われる。フィリピンでは、もともとコイン式でない『手洗いのランドリービジネス(近所の便利屋程度のもの)』はどこにでもある小遣い稼ぎであったため、もっともコピーされやすい分野であるだろう。注意が必要である。ただし人口が10万人程度の地方都市に進出して一気にマーケットを取るのなら可能性はあるかもしれない。

第8位 飲料水デリバリービジネス

こちらも大都市では個人事業主レベルで大変多く模倣されているビジネスである、浄水設備などの資金が数百万円、販売網づくりも、住宅のゲートにビラを挟んでおくだけで可能なため、ここ数年で急速に発展した。ウォーターディスペンサーの貸与が核となるが、ロジスティクスを抑えれば非常に容易な展開ができる。しかし、この産業はすでにフィリピンでもレッドオーシャン化しているため、やるとしたら地方の小都市や、アクセスの悪い場所しか良いマーケットにはならない。コンビニがまだ一店舗もないような地域ならば可能性はある。

第7位 ジム・フィットネスセンター経営

2014年の調査で既に、安いところでは1ヶ月500ペソ程度で使用できる「下町のジム」なども増えているとの報告がされている。車を購入できるくらいの中間層が増えてきており、健康・美容への投資も一般的になっているが、既にユーザーの奪い合いになっている状態であり、小さく始めるには不適切。逆にしっかり投資してトップレベルの施設を目指すくらいならやる価値はあるだろう。

第6位 日本語チュートリアルセンター

外国人介護士、看護士の受け入れ規制の改定や、技能実習生制度の変更などにより、主に現地人による日本語教育ビジネス立ち上げが加熱している。特にマニラ周辺、セブ周辺、ダバオなどでは今年に入って急速に増加しているようである。フィリピンは人口ボーナスがあと20年はつづくと言われている上に、若年層の割合が非常に高いため、教育関連ビジネスには非常にチャンスがある。教育分野のビジネスに関しても、外国資本投資の規制が行われる方向で法改正が進んでいる。しかしながら、右へ倣えで、同様のビジネスをあまりに乱立すれば一気に人材不足、質の低下、価格破壊に繋がる。さらに言えば、技能研修制度等の外部要因に起因することが多いので規制が掛かれば一気に市場が崩壊するリスクもある。あくまで教育産業であるため参入は慎重に検討したい。

第5位 パン屋、ケーキ屋

とにかくフィリピンでいたるところに見られるのがパン屋、ベーカリー、ケーキ屋。フィリピンには朝食または朝食前、おやつの時間「ミリエンダ」などにパンを食べる習慣があり、パン屋の需要は常に高い。が、とにかくどんどん何処にでも増える。この中で生き残れるのは「小さいイノベーション」が起こせるパン屋だ。日本クオリティのパンやケーキ、現地人がちょっと感動するような今まで食べたことのないものがつくれるならチャンスはある。逆に言えば、そうでないならこの、産業に手を出すメリットは全くない。食品なので衛生面もケアしなければならず懸念は多い。つまりパン作りにエネルギーをつぎ込める人でなければやってはいけないビジネスである。ここ数年では都市部では中華風揚げパンや、トースト肉まんなどがブレークしている。ケーキは大味でバターの質が悪いせいか油っぽいものが多い。この辺が改善できればチャンスがある。

第4位 インターネットカフェ

既に廃れてきている産業だと思われる。フィリピンでインターネットカフェを利用するのは、主にお金のない学生や、ゲーム目的でくる子供たちである。パソコンを持っていない学生がインターネットカフェに行き、家にゲーム機がない子どもがゲームセンター代わりに利用するため、客単価は安い。インターネットカフェビジネスの成功ポイントは(1)立地条件、(2)客席数の占拠率、(3)継続ユーザーの安定戦略と言われるが、特に低価格スマホやノートパソコンが普及してきている現在、既存の方法ではユーザーの安定が見込めない。今から参入しても尻すぼみのモデルであろう。

第3位 ネットワーキングビジネス

とにかくフィリピン人の小金持ちが持ちかけてくるのがこれ。ネットワーキング・ビジネスとは日本で言うところのマルチ商法にあたるため注意が必要である。美容系、サプリメントなどのネットワーキングビジネスが大流行しており、急成長しているエージェンシーもあるが、儲かるのはモチロン上層部のみ。英語では「ネズミ講」はPyramiding、「マルチ」は「multi-Level marketing/又は networking」と呼ばれ、前者は違法、後者は合法とされるが、明確な線引はない。新しいプロダクトのライセンスをいち早く欧米から獲得して、独自のネットワークをつくる。美容サプリではフィリピン国内のフルーツなどを原料にした製品を独自開発して一気に巨大化した企業も多い。フィリピンではFacebookマーケティングが非常に有効であるためネットワーキングビジネスでも多様に利用されている。独自製品の開発、プロダクトの海外展開を視野にいれるなら商機はあるか。

第2位 マッサージ店

15年ほど前はフィリピンの地方都市にはマッサージ店が皆無であった。フィリピンの伝統的マッサージ『ヒロット』が地域コミュニティーで活躍していたり、ブラインド・マッサージの店をたまに見かける程度であった。ところがこの15年でマッサージ店は乱立しつづけ、完全にコピービジネスと化してしまった。どうしてもやりたいなら、地方都市で周りにマッサージ屋がないようなところでやるしかない。それでも成功しはじめれば、すぐに近くに似たようなショップが増えていくことは間違いないだろう。それならば一定の利益を出したところで経営権を売却するなどしたほうがよさそうである。

第1位 オンライン英会話スクール

さすがにもう新規参入をする人はいないだろう、というくらいレッドオーシャンだが、なぜか未だに新しいスクールができたとの話をちらほら聞くのがコレ。設立と倒産が繰り返される産業になっている。2005年ごろから立ち上げが始まったオンライン英会話ビジネスだが、現在セブ島だけで100以上のスクールがあると言われている。最近ではオンラインと留学をかけ合わせたモデルが主流となってきている。逆に国内にフィリピン人教師を招聘して英会話学校を立ち上げるケースも見られる。メジャーなオンライン英会話はブランディングも評価も確立しており、これから新たに始めるなら新マーケットを開拓するしかない。広告・PRに資本投入するか、またはシニアを対象にしたり、介護施設と組んでB to Bで行うとか、オタク専用の英会話スクールにするとか、とにかく新しいアイデアがないとこの分野への新規参入は難しいだろう。

まとめ

上記で紹介させて頂いたほとんどのビジネスが都市部ではレッドオーシャンである。しかしながら地方ではチャンスがあるものもある。また、例えばコインランドリーの様に、もともと人力でやっていたものを機械化するという部分では、フィリピンではまだまだ価値が創出できる様に思える。

最近ではマッサージチェアなども街中のショッピングモールの一角で見られるようになった。そういう意味では街の治安が良くなってきているので、今後自動販売機系のビジネスには商機があるかもしれない。その他ご紹介したビジネスも進出地域や立地を間違えなければチャンスがなくはない。

ただフィリピンで小規模ビジネスを立ち上げるには、兎にも角にも「コピーされにくい」ビジネスを行うことが重要であると思う。個人的な所見ではあるが、フィリピン人は個人ビジネス、投資に対してあまりハードルを感じない国民性のように思える。小規模ビジネスには貪欲な人が多い。

若者でも少額で小さなビジネスは誰でも始めるし、会社勤めの人でも、副業、小さな個人ビジネス、お小遣い稼ぎををしている人によく会う。だからどんどんコピービジネスが生まれるのだろう。日本人ならば、日本人の特色を活かしたビジネスを探したい。

筆者プロフィール
三宅 一道

クリエイティブコネクションズ&コモンズ株式会社  代表取締役CEO/Founder

株式会社ピスタシア Co-Founder

20代半ばまでギタリストとしてバンド活動を続けていたが、バンド解散後、「海外で生きるって何となくイケているよね」という程度の軽い考えで、2001年にフィリピン・ダバオ市に移住。

ダバオでは周囲の素晴らしい人々の親切により、市内の日本語ボランテイアに関わるようになり、そのまま日本語教師としての道を歩み始める。その後は途中調子に乗りすぎて首になったりもしながら、インターナショナルスクールや大学の日本語教育に10年間携わる。後半5年間はミンダナオ国際大学の日本語センター長として、日本語教育システムの改善を行うとともに、教材作成、スピーチ指導(5年連続フィリピン弁論大会優勝)、日本語ラジオ番組の制作、音楽を使った日本語教育など多岐に渡る日本語教育を実践。

教え子である日本語人材に雇用を提供するため、2012年にパートナーの長谷川と共にCreative Connections & Commons Inc. を立ち上げる。