【特集】ダバオで活躍する日本人を特集 – YOUは何しにダバオへ?〜ドボジョ・ミオさん編〜

ダバオバイパス

皆さんこんにちは!ダバオッチのホノカです。皆さんはダバオで現在進行中のダバオバイパス建設プロジェクトをご存じでしょうか??交通渋滞の緩和や物流改善による経済発展を目指して、ダバオ市南部のシラワンから北部のパナボの全長45kmを結ぶ大規模なバイパス工事が行われています。

そのうちフィリピン初の本格的な山岳トンネルの施工を含む10.7kmは清水建設と竹中土木とウルティコンが共同企業体(JV)となって担当しています。第6回となる今回のダバオで活躍する日本人にインタビューする、「YOUは何しにダバオへ?」のコーナーは清水建設女性エンジニアの大島みお(オオシマ ミオ)さんにインタビューしました!

土木・建設の現場で働く女性は土木女子、ドボジョという愛称で呼ばれますが、そんなドボジョのミオさんにダバオバイパス建設プロジェクトのやりがいやドボジョの魅力などたくさんお話を聞いてきました!また今回は清水建設のご協力のもと建設中のトンネルも見学させていただき、現場のリアルもお届けできればと思います。ぜひ最後までご覧ください!!  

ダバオバイパス建設プロジェクトについて

ダバオバイパス建設プロジェクト
@DPWH
DPWH
©DPWH

ダバオバイパス建設プロジェクトは、Build Better More (BBM)プログラムの一つであり、ダバオ市トリル地区シラワンからパナボ市までを結ぶ全長45.5kmで、大きく二つのパッケージから成ります。パッケージⅠは国際協力機構(JICA)による円借款工事で、今回訪問したⅠ-1工区が延長10.7㎞、 Ⅰ-2工区が延長12.8㎞、Ⅰ-3工区が延長6.1㎞です。パッケージⅡはフィリピン政府資金による工事で、Ⅱ-1工区が延長2.7㎞、Ⅱ-2工区が延長3.5㎞、Ⅱ-3工区が延長9.7㎞です。

バイパスが完成すると、従来移動に1時間44分掛かるところが、49分と大幅に短縮される予定です。大型トラックなどが市内を通り抜ける必要がないことからも 悩ましい市内の渋滞も緩和できる見込みであり、物流がスムーズに進むことから経済発展にも貢献することを目指しています。  

現在、Ⅰ-1工区の延長10.7kmの区間の工事進捗は43.4%で、現時点での契約工期は2025年3月です。

山岳トンネル施工について

ダバオバイパス建設プロジェクト
北坑口全景写真

ダバオバイパス建設プロジェクトの中でも特に注目されているのが全長2.3㎞にも及ぶ山間部のトンネル工事です!フィリピン公共事業道路省(DPWH)によると、山間部にこれだけの長さを誇るトンネル工事はフィリピン初であるということであり、トンネル設計には日本の設計基準が適用されています。また技術移転にも力を入れ、未経験フィリピン人技術者のトンネル掘削に関するスキル向上が期待されています。  

ダバオバイパス
南坑口全景写真

トンネル工事は北側と南側の両方から掘削が行われ、最終的に貫通するという進め方で行われていますが、貫通した時の感動といったら何にも代え難いものではないかなと私もワクワクしています!現在トンネルの掘削作業は2024年1月末時点で75.2%に達していて2024年以内の貫通を目指しています。  

まずは北坑口側、そして南坑口側を見学させていただきました。トンネルの顔となる坑門はとても綺麗です✨

坑口前には送風機があって、貫通していないトンネルは工事員に酸素が行き届きません。こちらも日本から船で運ばれてきた機械です。とにかく現場は人の命あってなので、しっかりと酸素が行き届き、換気されるようにしています。  

またトンネルの横には合わせて管理棟も建設されています。消防や救急の時にすぐに動けるための棟やメンテナンス、運営などそれぞれの目的に合わせた建物が建設中です。  

ダバオバイパス

トンネルの中に入ると最終形のコンクリートが施工されています!トンネル内も整備されていて、完成が近づいていることを実感しました!

ダバオバイパス建設プロジェクト
トンネル掘削作業の先端の写真

ざっくりとトンネル工事の順序を紹介します。まずは掘削です。このトンネルの地質は軟らかいことから機械で掘っていきます。進行方向に1m山を掘って、吹付コンクリート、鋼アーチ支保工、ロックボルトで内側から補強していきます。トンネル掘削工事は昼夜24時間行われています。  

ダバオバイパス
鋼アーチ支保工写真
ダバオバイパス
防水シート

コンクリートを山からの湧水から防ぐために防水シート(白色)を張っています。この防水シートは日本から輸入したものです。

いつもトンネルを通ると必ずある非常駐車帯、道路が少し広くなっている場所の工事が行われているところも見ることができ、ここが!!と感動しました。また、フィリピン人チームだけで工事を進めている場所もあって技術移転がしっかりと活かされていました。  

それぞれのチームがあるので、やることが分担されており、効率よく進んでいるのだと感じ、失敗が許されない緊張感もありながら、迅速にかつ丁寧に作業を進めている姿に終始感動していました✨  

それでは本題のミオさんへのインタビューに移ります!

Youは何しにダバオへ?

ダバオバイパス
工事長の武本さん(左)と工事主任の縄野さん(右)とフィリピン人スタッフ

・ダバオ配属が決まった時の気持ちは?

ダバオ配属が決まる前に、マニラとダバオの現場を訪れました。その出張でダバオの空港に降り立った時、直感で「あ、めっちゃ好きだなここ」となった感覚がありました。出張から帰った後に上司に、マニラとダバオどちらが良いか聞かれた時は、ダバオが好きです!と即答し、その後ダバオ配属が決まったときは、またあそこに行けるんだ!という嬉しさがありました!

▷ちなみにミオさんにとって初めての海外事業がダバオで2023年9月からダバオバイパス事業に携わっています✨  

・ダバオで現在やっているお仕事

今は施工計画作成、施工図面作成、資材発注などの業務を行う工務をしています。ずっと現場にいてスタッ フや作業員に指導するのではなくて、現場で起こっていることを拾い上げて、書類を作成することで現場を 進めるサポートをしたり、資材の発注などをコントロールしています。これは現場とオフィスを繋ぐ役割で す。  

現場の人とよくコミュニケーションをとって現場の声を反映させます。週に2回は現場に行くようにして、スタッフと話したり、自分の目で何が現場で起こっているのかを確認します。例えば、山岳トンネル施工はフィリピンにとって初めてなので、資材や機械は日本や他の国からの発注になります。発注してもすぐに届かないので、数ヶ月先を見越して、どのくらいストックがなければならないのかなどを常に考えています。

・ダバオへの印象

他の途上国に比べて、道路がとても綺麗に整っているなという印象がありました。またマニラに比べて、ダバオは治安がいいと上司に言われたこともあったので、安心感がありました。  

・ダバオにきてよかったこと

基本とても楽しく過ごせていて、その理由としてはフィリピン人の人柄とダバオの自然かなと思います😄フィリピン人の明るい性格と笑顔がとてもチャーミングでその笑顔に癒されます。机の引き出しがサリサリストアになっているのを嬉しそうに見せてきたり、よくおすそ分けをもらっています笑

もう一つのダバオに来てよかったことは、空が広いことです!もともと自然が好きなので、海も山もあるダバオで癒されていま す。  

ダバオパイパス建設プロジェクトについて

・ダバオバイパス建設プロジェクトのやりがい

トンネルが完成し、バイパスが全て完成した時にダバオの人々への影響を想像するとやりがいになります。と言いたいところですが、普段はそこまで考える余裕もなく、普段のやりがいは現場が日々前に進んでいるということ、また自分と一緒に働いているフィリピン人に彼らの役立つ情報を与えられるかどうかということです。彼らがいつか違う現場で働いた時に、ここでの経験や自分から伝えた何かが少しでも活きたらいいなと思っています。  

・ダバオバイパス建設プロジェクトで大変なこと

日本語でも難しい図面の細かい表現を、どう言語の違う人たちに伝えるかということに苦戦することが多いです。1回描いてもらった図面が、伝わっていなくて想定していたものと全く異なるもので描き直しとなることも何度もあります。  

また、トンネル資材の発注をする中でトンネルの動きが予測しきれない状況ですが、資材がすぐに届かないので工事が止まらないように常に準備をしなければならないということが大変なことです。日本の現場で、機械が壊れても、新しい機械がその日中には届くことがほとんどです。しかし、ダバオだともともとその機械自体がなかったり、部品さえそろわなかったりするため、機械が使えるようになるまで数か月もかかってしまうこともあり、4ヶ月後になってしまうなど、未来を見据えることが難しいです。  

・「技術移転」やフィリピン人育成について

ダバオバイパス
南側工事を担当する西尾さんとインドネシア人の職人さん

ダバオバイパス建設プロジェクトにはインドネシア人も働いています。彼らは清水建設でトンネル工事を経験したことがあるスタッフで、その経験を生かして未経験のフィリピン人エンジニアに知識や技術を伝えています。もうフィリピン人だけでほとんど回せるようになっているので、いつかは彼らが教える側になれることを目指しています。自分の国のことは自分でやれた方がいいと思っています。また、インドネシア人がフィリピン人に技術を教えているということは、インドネシア人に技術移転ができているという証拠にもなっています🇮🇩

技術移転にはいくつか種類があって、個人でやっているのは図面を描かなければならない理由やトンネルの動きに対しての必要な準備を伝えるということです。トンネルや他の建築についての知識も教えています。現場としてしていることは、OJT(On the Job Training)で直接教えることの他にも、フィリピンの土木学会でトンネルの技術を紹介したり、コンサルタントやフィリピンのお客様と合同で定期的にセミナーを開いて技術紹介をしたりしています。  

▷技術や知識は惜しみなく共有できることは全て共有するようにしているということで、現在働いているフィリピン人が指導側に立ち、自国や他国での工事を引っ張る存在になるという未来も近いのかもしれません。これは、このプロジェクトにおける役割の一つです!  

トンネル建設について

ダバオバイパス建設プロジェクト

・トンネル建設において大切なことは?

トンネル建設にかかわらず、人の命あっての仕事なので全ての建設業において重要なことは『安全第一』であることです。さらに土木は川に対して橋をかけたり、山に対してトンネルを掘ったりというような自然と対峙していく仕事です。自然は予測しきれることが一つもないので、経験や歴史から最大級の安全への備えをしています。それを一緒に働くフィリピン人にも必ず伝えて、何かあってからでは遅いことを理解してもらうようにしています。  

・日本の工事とダバオバイパス建設プロジェクトの違いは?

違うと感じる点は4点あります。

言語の違いがやはり1番大きいです。私の英語も完璧ではないですし、現場のワーカーさんの中には英語が苦手な人もいます。そのため、現場で朝礼に出ていた時はなるべくホワイトボードを使って、言葉だけではなくて絵や図を描いて説明するようにしていました。  

あとは、工事の規模の大きさが違います。以前日本で携わった工事は職員5人と協力業者の職人さんが30人ほどでしたが、ダバオのトンネル工事では500人以上が従事していて、100人のスタッ フと工事先端で働く作業員さんが約400人と規模が大きい工事になっています。日本で経験した現場は増築や改修など、すでにできているものに対して手を加えるというものでした。大きい工事や新しい工事ができ るというのは海外事業の魅力の一つでもあります。

先ほどもありましたが、資材の調達は日本の現場と比べて圧倒的に難しいです。機械専門のグループでは、工事機械が壊れてしまった時に使える代替品まで考えて動いています。在庫管理はダバオバイパス建 設プロジェクトにおいて大きな役目だと思っています。  

さらに、日本は本当に土木女子が少ないですが、ダバオでは建設現場で働く女性の数も多い印象です。日本だと現場監督となったら、色々な仕事を一気に背負いますが、ダバオでは各工種や役割が細かく分かれて、関わる人も多く、日本よりも女性にとっての選択肢が多いなと感じています。  

ドボジョ・ミオさんのダバオに来るまでのストーリー

ダバオバイパス建設プロジェクト
日本での事業

・今まで日本で携わった事業は?

日本では現場監督として船着場の工事と高速道路の橋の下部工工事に携わりました。自分よりも歴が長い方にも監督として指示をしなければならない立場でした。また、土木には様々な工種があって、トンネルは今回のダバオバイパスの工事が初めてだったので、必要なものや過程などトンネル工事を1から勉強しました。どの現場も大変でしたが、とても楽しかったです!  

・「土木女子」を目指したきっかけは?

ダバオバイパス
2015年9月の鬼怒川氾濫@東京新聞

高校卒業のタイミングで進路を決めなければならない時、まじめに考えておらず、当時はまっていた漫画の影響で宇宙工学をやりたいと思いチャレンジしましたがその年は不合格に。そんなこんなで浪人生時代に、出身地である茨城県の鬼怒川が氾濫してする自然災害が起こりました。そのときのショックが大きく、もしこれが防げていたら、どれだけの人が被害を受けずに済んだだろうかと思い、その気持ちから、土木の道に進みました。  

ダバオバイパス建設プロジェクト

かつ海外旅行が好きで、何度か海外にも足を運んでいました。ほとんどが発展途上国と呼ばれる地域で、その中でも印象的だったのが、就活前最後に行ったインドでした🇮🇳インドでは現地の小学校に行 ったり学校で働く人、そこを支援する人に会いました。道路や水道、橋など基礎的なインフラが整っていない中で、それでも日々学校に通う子供たちに出会い、ここでインフラが整ったらこの子たちの未来がどう変わるだろうかと思いました。途上国に関わる学生あるあるかもしれませんが、これがきっかけで 海外にインフラをつくる土木の仕事がしたいという自分の軸が決まりました。  

ダバオバイパス

・「土木女子」の魅力

まだまだ業界には女性が少ない職業なので目立ちます。(学生の頃は1割しかいませんでした。)仕事がうまくできない時も目立ってしまいますが、それ以上に目立つということは自分に注目を向けてくれる人が多いので、自分の言葉を聞いてもらえるという武器にもなります。あとは何よりかっこいいです🕶  

・「ドボジョ」を目指す方にメッセージ  

土木の仕事は華やかではなく、普段気づかれないような場所かもしれませんが、土木が生活にもたらす効果は大きいと思います。業界としても、女性も働きやすいように環境の整備等してくださっています。いつか女性が大多数を占める現場管理ができたら面白いですね!  

土木の世界に女性が増えたら個人的にとてもうれしいので、待っています! 

▷ミオさんは常に笑顔が素敵です!!ドボジョの笑顔は現場の華ですね🌷  

ダバオトンネル完成後のミオさんが描く未来  

ダバオバイパス

ダバオトンネルが貫通して落ち着いたあと、どれくらいダバオにいるか決まってはいませんが常に色々な人と関わっていたいと思っています。また海外で働けるチャンスがあるならやりたいなとも思います。

もともと途上国にインフラを整えたいという思いはあるので、今のように施工業者として入る方法や計画側に回る方法だったり、途上国のインフラに関わる様々な方法を模索して行きたいです!

それから、ダバオバイパスが完成したら始点から終点までドライブしに来たいですね!

まとめ  

日本とダバオの工事では異なることも多い中で、常に現場のベストな状況を維持するミオさんはダバオバイパス建設プロジェクトにとって欠かせない存在です。まだまだ、日本には土木女子が少ないですが、ミオさんの海外のインフラを整備したいという熱い気持ちと工事の成功に尽力する輝かしい姿に後押しされる方が沢山いると信じています。

また、建設中のトンネルを見学させていただくという貴重な経験をさせていただき、規模の大きさに圧倒されました。現場に行って感じたことはみんな笑顔であるということです!決して楽な作業はないのにもかかわらず、ミオさん含めた清水建設と竹中土木の方々、フィリピンとインドネシアのスタッフさんたちも明るく接してくださいました。

いつかこのトンネルやダバオバイパスがダバオの人たちにとって当たり前である日がやってくると思いますが、そんな日常はこんなにも緻密に設計し、話し合い、日々汗水を垂らしている方々の努力がなければあり得ないことなのだと痛感させられました。今後の建設にも注目ですし、完成がとても楽しみです!

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