【特集】フィリピン税制改革解説 – 所得税が収入に応じて0%に

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2016年6月にドゥテルテ大統領がフィリピン16代目の大統領に就任してから、およそ1年半、麻薬戦争や意欲的な外交の陰に隠れてあまり注目を集めることがありませんでしたが、就任当初から意欲的に取り組んできた大胆な税制改正の第一弾が2018年1月より施行されました。ここでは今回施行された税制改革の内容についての記事を寄稿したいと思います。

今回の税制改革の目玉は何と言っても所得税改革にあります。年収25万ペソ以下は、個人の所得税を実質ゼロにする政策です。25万ペソから、40万ペソ以下は25万ペソを超過した分に関して、20%の所得税が、40万ペソから80万ペソ以下は3万ペソに加え、40万ペソを超過した分に関して、25%と収入に応じて、段階的20~35%と税収を上げる仕組みとなります。また、13か月の法定ボーナスやその他のインセンティブについても、現行の82000ペソから90000ペソまで控除される金額が増加されました。

これにより、所得税を納める人の99%が実質減税となると言われています。また今までの複雑な所得税計算からもより分かりやすい課税の仕組みとなったことで、国民にとっても事業者からも喜びの声が上がっていると同時に政府はしっかりと税金を徴収できる体制を作ったことが狙いのひとつであろうと考えられます。

しかしながら、物品などにかかる税金は引き上げられます。フィリピンはソフトドリンク大国ですが、砂糖や人工甘味料を加えた飲料に対して1リットルあたり6ペソ加算され、また高果糖コーンシロップを加えた飲料に対しては1リットルあたり12ペソが加算されるなどとした「加糖飲料税」も新たに導入されました。但し、牛乳、3-in-1 coffee等に使用される砂糖、100%ナチュラルなフルーツジュースや野菜ジュース、ココナッツシュガーやステビアなどの自然な甘味料を利用した飲料水などは免税となります。また、体の不自由な人のための医薬品なども免税となるようです。

一方で燃料油等については大幅な値上げとなります。液化石油ガス(LPG)は18年から20年まで、1リットルにつき1ペソずつ毎年値上げされ、ディーゼル燃料は無税だったのが、18年は1リットルにつき2.5ペソ、19年は4.5ペソ、20年は6ペソ値上げされます。ガソリンは現行の1リットルにつき4.35ペソが、18年は7ペソ、19年は9ペソ、20年は10ペソ値上げ、その他の燃料についても軒並み上昇する予定です。

また、中間所得層が増えており、劇的に車の交通量が増えているダバオではありますが、自動車への物品税も増税となります。卸売価格が60万ペソ以下の場合、現行の2%から4%に上昇。高価格帯の100万~400万ペソの場合は20%となり、400万ペソ以上の高級車に至っては、50%が課税されます。

その他の注目点と言えば、石炭が現行の1トンにつき10ペソが18年に50ペソ、19年に100ペソ、20年には150ペソと3年で15倍と大幅な上げ幅となります。美容手術に対しても5%を課税し、相続税と贈与税は従来の累進課税から一律6%としました。また、印紙、株式取引、外為利息等も増税となります。

今回は2018年1月から施行された主だった税制改革について、ご紹介しました。フィリピン財務省は税制改革を5段階に分けて実施するとしています。それに伴い18年は1,300億ペソ超の税収増を見込み、5年後にはその2倍の税収アップを目指しています。

現在、フィリピンは発展著しいASEAN主要国の中でもトップクラスの経済成長率を見せていますが、税収アップをインフラ整備に投資し、悪化する交通渋滞や空港機能の向上に繋げ、経済成長を妨げる脆弱なインフラを改善し、雇用を生む業種の誘致につなげたい考えです。

 

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