こんにちは!ダバオッチのゆいです。
今回は、いよいよキタングラッド山の日の出を拝めて、下山、そしてダバオに帰る前でをまとめた“絶景・下山編”。
“もう登ったし、あとは降りるだけでしょ”
「登山よりも下山の方が時間がかからない=簡単」だと思い込んでいた登山初心者の筆者。前日の登山ではほとんど全ての体力を使い終え、翌日の下山を迎える。そんな筆者に待ち受けていた悲劇とは?
日本語での情報が限られているキタングラッド山、その現地ツアーに参加した体験型レポート。ぜひ最後までご覧ください。
前回の記事ーキタングラッド山準備編・登山編ーをまだ読んでいない方は、こちらからチェックしてください!
目次
5:00 起床&写真撮影
起床してすぐに見た日の出です。山頂の早朝はとても気温が低くなっていました。
山の上で日の出を見るのは初めての経験で、日帰り登山では味わうことのできない達成感を、絶景とともに感じられました。

山頂には、たくさんの写真スポットがあります!
右の写真の奥に見えるのは、フィリピンで2番目に高い山、ドゥランドゥラン山です。前日は雲や霧の影響で山頂付近の様子が見えませんでしたが、この日は雲もほとんどなく、辺りの景色が美しく広がっていました。
まさかのサービスまで!!
ガイドさんがドローンで撮影してくれました。景色を撮るのも、集合写真を撮るのもお手のもの。そして驚くほど高画質。撮った写真はすぐに共有してくれます。
ドローンの操作には免許が必要で、登山の荷物としてもかなりかさばるはずです。それでも、ただ連れて行ってくれるだけでなく、どこまでも最高の体験と思い出を提供してくれるガイドさんたちに感謝です。
7:00 朝食
起床から2時間の写真タイムを終え、かなりお腹が空いてきました。宿に戻ると、「朝食は外だ」と伝えられ向かった先には、、、山の緑の中で食べる豪華な食事です。間違いなく、これまで食べた中で最高の朝食でした!
メニュー
ライス・キニラウ(マグロときゅうりのサラダ)・ソーセージ・照り焼きチキン・BBQチキン・シナンガグ(フライドライス)・ブロッコリーとチキンのサラダ・フルーツサラダ・フルーツの盛り合わせ

8:00 下山開始
いざ下山開始!
下山を開始して最初に待ち受けていたのは、昨夜の強い雨でぬかるんだ泥を避けながら急坂を下る難所です。ぬかるんだ泥に足をつくと、くるぶし付近まで泥に浸ることも。泥を避けて木の根に足をついても、雨で湿った木の根はよく滑ります。開始してから2時間ほど、このような難所が続きました。最初はサスケをしている感覚で楽しんでいたのですが、慣れない下山に徐々に体力を奪われ体力が削られるのを感じます。

昨日は霧と雨でほとんど何も見えなかった山頂付近のポイント。
1日経つと景色は一変し、遠くまで見渡せるようになりました。絶景が疲れを癒してくれます。また、昼が近づくにつれて太陽が昇り、少しずつ温かくなってきました。しかし、風は依然として強く吹いているため、足取りには引き続き注意が必要です。
9:20 K-4ポイント到着
K-4ポイントは看板のみのポイント。自分で休憩できそうな場所を見つけながら、適度に休憩をとって進みます。下山を開始してから約1時間ほどでK-4ポイントに到着しましたが、下山開始からこのK-4ポイントまでが、今回の登山で最も難しい区間でした。写真の通り、9時頃から日差しがかなり強くなってきました。水分補給や服装での体温調節を心がけ、熱中症に注意する必要があります。

キタングラッド山の No.1写真スポット!
山から突き出た岩の上で写真を撮ることができます。中には岩の上に立って撮影する参加者もいましたが、実際に行ってみると、「あ、これマジで落ちるやつだ」と悟り、座っているのが精一杯でした。特に高所恐怖症というわけではありませんが、人生で一番冷や汗が出る瞬間でした。
広大な大地と青空を背景に思い出に残る一枚になりました。

ド迫力の下り急階段!
「あれ、こんなに急だったっけ?」と思うほど、上から見た階段はさらに傾斜がきつく見えます。足を滑らせないように、体のバランスを崩さないように、慎重に降りていきます。
登りは“足を上げる体力”が削られたのに対して、下りは“精神力・神経”が消耗されていくのを感じます。とはいえ、絶景を眺めながらの下山にはまた別の魅力があります。

10:00 K-3ポイント到着
K-3ポイント近くの休憩スポットで一休み。
ここが下り1つ目の給水スポットです。(2つ目はK-2ポイントの小屋の中)
先頭のガイドや参加者はかなり早いペースで進んでいましたが、体力的になかなか付いていけず、ゆっくりと休憩をとることにしました。無理をすると、思ったように体が動かず、1つのミスが命取りになることもあります。適度に休憩を取り、焦らず自分のペースで進むのが大切です。
休憩地点では昨日の登山のように、参加者は皆、軽食をシェアしてくれます。フィリピンのシェア文化、大好きです。

これでもかというほど、木の根が剥き出しになっています。
スピードを上げず、一歩一歩丁寧に下っていきます。それでも、ふとした瞬間に気を抜くと足を滑らせたり、捻りかけることがありました。足だけでなく手も使いながら、体のバランスを安定させます。

11:15 K-2ポイント到着
ようやく登山も終わりに近づいてきました。この辺りはほとんど記憶がないほど疲れており、頭を無にして進んでいました。
K-2ポイントに到着すると、なくなりかけていた水を補給して一休み。あと一踏ん張りです!

11:50 K-1ポイント到着
K-1ポイントまで来れば、道は開けて傾斜も緩やかになります。他の参加者の顔にも疲れが見えますが、地面には岩が転がっており、最後まで気を抜けません。

12:15 登山終了
下山を始めてから約4時間、ようやく全行程を終えました。
キタングラッド山は急傾斜が多く、下りでは神経も精神もフル稼働。登りと同様に体力を消耗するだけでなく、どの足場を選ぶか常に考えながら進むため、頭も体も本当に疲れました。
それでも、登った山を自分の足で下りてくると、「自分で始めたことを最後まで責任を持ってやり遂げる」という気持ちが芽生えるように思えます。達成感も味わえますし、何より「やりきった」という実感がすごくありました。

登り終えた先に待っていたのは、人数分のバイクたち。まるで数日間の無人島サバイバルを終え、船に乗って島から脱出するような気分。
2人乗りで、1日目に宿泊した施設まで送り届けてくれました。もちろんノーヘルメット――フィリピンの田舎ではよく見られる光景です。登山の疲れを吹き飛ばすような疾走感と風を全身に受けながら、ここでもまた最高の体験ができました。
到着後、ドライバーに100ペソを現金で支払う必要があるのでご注意を!

12:30 至福の時間
宿に到着すると、先に着いていたツアーガイドさんがなんとなんと、
ピザとビールを用意してくれていました!!
(コーラ・スプライトもありました)
登山後に食べるピザは格別。ガイドの方たちはビールがお好きなようで、信じられないスピードで大きな瓶を空けては、次のビールを注文し続けていました。
宿泊施設には簡易的なシャワーが付いているので、汗を流したり、汚れた靴を洗ったりできます。この時サンダルがあるととても便利。ほとんどの参加者はサンダルを持参していましたが、もし忘れてしまっても、在庫状況次第で併設のサリサリストアで購入可能です。
登山証明書もいただきました。
一人ひとりの名前や管轄機関までしっかりと記載されていて、とても本格的な証明書です。登頂の達成感をより深く味わえるだけでなく、家に飾っておけば、ふと目にしたときにいつでもキタングラッド山の思い出がよみがえります。形として残る、最高のお土産です。(ツアー料金に含まれています)

15:00 移動
登山が終わり、お腹を満たしてしばらくした後、再び大型のバンに乗ってツアーの集合場所であった Impasugong環境センター に向かいます。
ツアーガイドの方にダバオへ帰ることを伝えると、最寄りのバスステーションで特別に降ろしてもらえ、ダバオまでの行き方についても丁寧に説明してもらえました。

15:30 バスに乗ってダバオへ
ガイドさんに教えてもらったバスに乗って、ダバオへ向かいます。
登山で体力は限界。バスに乗ったらずっと寝ていようと思ったのですが、まさかの席がなく立ち乗りに。大型バスで立つこともあるんですね。乗客の入れ替わりはかなり頻繁なので、ずっと立ちっぱなしということはなさそうです。
バスに乗って約2時間が過ぎた頃、「この近くで地滑りがあり、ルートを変更しないといけない」とのこと。
幸運なことに、隣に座っていたフィリピンの方も同じくダバオに向かうそうで、もう彼にすべて任せることに。無事ダバオに到着しました。
4:00頃にバスに乗り、ダバオに着いたのはなんと11:30ごろ。約7時間の長旅でした。
ダバオから行かれる方は、ブキドノンでもう一泊を検討しても良いかもしれません。

まとめ
今回キタングラッド山ツアーに参加したことで、キタングラッド山の魅力や登山そのものの楽しさを改めて発見できただけでなく、人と関わること・助け合うこと・共有することの温かさも学ぶことができました。
登山そのものは想像以上にきつく、終わりがないように感じながらも、力を振り絞って登頂した時の達成感は言葉で表せないほどでした。そこで見た朝日、山の上での食事、下の急斜面、下山後のノーヘルバイクでの体験など、キタングラッド山での全ての思い出が自分にとって初めてのもので、とても印象に残るものばかりです。
キタングラッド山は地理的・気候的な条件から、決して楽な登山ではありません。しかし、ここでしか味わえない景色や体験がたくさん詰まっています!
この記事を読んで「キタングラッドに行ってみたい」「登山してみたい」と少しでも感じてもらえたら嬉しいです。







