
ダバオ市は、マレーシアとフィリピンの関係強化における重要な拠点として注目されている。これは、2025年9月3日夜に、在ダバオ・マレーシア総領事デディ・ファイサル・ビン・アフマド・サレー氏が主催した第68回マレーシア国慶日レセプションで強調された。
サレー総領事は、ダバオ市を両国の協力関係における中核拠点と位置づけ、マレーシア企業が都市景観やエネルギー分野の主要プロジェクトに貢献していることを紹介し、これが両国の「永続的な友好関係と緊密な協力」の証であると述べた。
代表的な取り組みの一つが「ダバオ公共交通近代化プロジェクト(ダバオ・バス・プロジェクト)」である。マレーシアのコンサルティング企業HSSが専門知識を提供し、総延長672kmにおよぶバス路線網の整備を支援している。試験運行は2027年に開始予定であり、同プロジェクトはダバオ市の公共交通において「新たな基準を打ち立てるものになる」とサレー氏は語った。
また、再生可能エネルギーもマレーシアが注力する分野の一つである。開発・投資企業であるMAQOソーラーグループは、ミンダナオ各地の地方自治体に対し、地域の持続可能な目標に沿った太陽光発電の供給準備が整っていると明らかにした。
経済面でも両国の関係は依然として強固である。2024年の二国間貿易額は83億ドルに達し、マレーシアはフィリピンにとって第9位の貿易相手国であり、外国投資元としても第8位に位置している。サレー総領事は「これらの数字は両国の経済界における深い信頼と確信の表れである」と強調した。
さらに、マレーシアはバンサモロ和平プロセスにおいても引き続き重要な役割を担っている。サレー総領事は、対話の促進、包摂的なアプローチの推進、そして地域発展が持続可能かつ地域社会にとって有益であるよう支援していくというマレーシア政府の方針を改めて示した。
教育および文化交流も、両国の協力を支える重要な柱である。サレー氏は、マレーシア国民大学(Universiti Kebangsaan Malaysia)とダバオ市のイマキュレート・コンセプション大学(University of the Immaculate Conception)によるインターンシップ・プログラムを例に挙げ、マレーシア人学生がフィリピン人との交流を通じて相互理解を深める機会となっていると述べた。
観光および移住もまた、両国民の人的交流を一層豊かにしている。年間50万人以上のフィリピン人がマレーシアを訪れており、多くは教育、医療、情報技術といった分野で就業している。これらの分野において、フィリピン人労働者はマレーシア社会から高い評価と尊敬を得ているという。
また、マレーシアが現在議長国を務めるASEANに関連し、今後フィリピンが次期議長国となることを受けて、サレー総領事は「クアラルンプールとして最大限の支援を提供する用意がある」と述べた。両国は引き続き連携し、地域の強靭性および包摂性を高める枠組みの構築に貢献していくとしている。
スピーチの締めくくりに、サレー総領事はマレーシアとフィリピンの友好関係に乾杯を捧げた。その上で、両国の関係は「貿易、平和、文化交流を礎とするパートナーシップ」であると述べ、今後さらなる協力深化に向けて、ダバオがその懸け橋となるとの考えを示した。