ミンダナオ大学民衆意見研究所(以下UM-IPO)の刑事司法教育学部(CCJE)による最近の全国調査で、フィリピン人男性の約10人に3人が妻から何らかの家庭内暴力を受けた経験があることが明らかになった。
2021年にフィリピン全土の様々な地域から、1,703人の参加者を集めて実施されたこの調査では、フィリピン人男性の33.1%が家庭内暴力を経験していると回答しており、過去の調査と比較して大幅に増加していることがわかった。2018年には、このような暴力を経験していると報告したのは、100組の夫婦のうち12~15組に過ぎなかった。 UM-IPOの持続可能経済担当ディレクターであるジョエル・B・タン博士は、家庭内虐待に関する議論では、被害者としての女性に焦点が当てられることが多いが、この研究は、妻から夫に向けられる暴力に光を当てていると強調した。
「一般的に、女性と子どもは女性と子どもに対する暴力(以下VAWC)法によって保護されているが、男性の場合はどうだろうか。妻から夫への暴力は許されるのだろうか?男性の権利も考慮していかなければならない」 研究者たちは、DVを経験したほとんどの夫がその被害を報告していないことを指摘し、憂慮すべき傾向に懸念を表明した。
研究者たちは、配偶者からの虐待に共通する理由として、ストレスへの反応、支配的な行動、注意を引くための行動などを挙げている。 研究では、さまざまな形態の虐待が分類された。感情的虐待が最も多く、次いで経済的虐待、身体的虐待、心理的虐待、技術的虐待が続いた。性的虐待の報告は少なかった。 多くの場合、複数の形態の虐待が同時に発生しており、例えば、言葉や身体的な攻撃、オンラインでの誹謗中傷、激しい口論中の侮辱などがあった。
タン博士は、男性に対する暴力について、平等な権利を確保するために法律を見直す必要性があると語った。 UMのCCJE副学部長であるネスター・C・ナベ博士は、家庭内暴力は女性だけが被害者ではないことを強調した。 「残念なことに、私たちの国には夫を保護する法律がありません。これは、私たちがこの調査を実施した動機のひとつである」と彼は語った。この調査結果を受けて、マルガリータ・イグナシア・”ミグス”・B・ノグラレス下院議員やラフィ・トゥルフォ上院議員を含む議員たちが行動を起こし、DVから夫を守るためにVAWC法を改正する法案を提出した。
男性は女性より、家庭内での暴力や暴言による被害を受けていても、外部に相談しにくいだろう。相談窓口の設置や、男性に対する家庭内暴力の認識を広めることで男女共に助けを求めやすい環境を作っていかねばならない。
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