【News】北ミンダナオとダバオを結ぶBuDa道路、崩落後の復旧計画と住民への影響

土砂崩れ 災害

北ミンダナオ地方とダバオ地方を結ぶ重要な交通路が大規模な地滑りで寸断されたことを受け、公共事業道路省(以下DPWH)は、被災したブキドノン-ダバオ(通称・以下BuDa:Bukidnon-Davao)道路の通行確保と安全性向上を目的とした迂回路および復旧計画を発表した。

この計画は、2025年10月23日にブキドノン州ケソン町リベルタッド村で開催された調整会議で示されたもので、DPWH幹部、地方自治体関係者、復旧プロジェクトに携わる技術者らが出席した。

DPWHのビンス・ディゾン長官は、迂回路の建設には4〜5か月を要する見通しであるとし、道路の長期的な安定性を確保するために、2か月間にわたり土質および岩盤の試験を実施すると話し、「構造的な安全性を損なうことなく道路を安全に再開通させることが最優先である」と強調した。

DPWH北ミンダナオ地方事務所のリリベス・アパレシオ技師長は、事業は段階的に進められ、まず地質工学的試験を行い、その後、地方自治体(LGU)と連携しながら3か月間の建設工事を実施すると述べた。主要工事の進行中も、住民や軽車両向けに一時的な代替ルートを開放する方針だ。

アパレシオ技師長は、安全確保を最優先とする必要があると述べ、現地の地形はいまだ不安定であり、さらなる事故を防ぐため、精密な工学データの取得が不可欠だと強調した。

一方、ケソン町のポリング・ロレンソ町長は、迅速に対応したDPWHに感謝しつつ、道路の長期閉鎖が住民や商業関係者、運送業者に及ぼす経済的・物流的影響への配慮を求めた。

BuDa道路の重要性

BuDa道路は、カガヤン・デ・オロとダバオ市を結ぶ、ミンダナオ島における主要な交易・交通回廊の一つである。

通行止めにより輸送コストの上昇や農産物配送の遅延が生じ、北ミンダナオと南ミンダナオ間のサプライチェーンに混乱が生じている。

DPWH北ミンダナオ地方事務所は、2025年10月18日に発生した大規模な道路崩落を受け、ブキドノン州ケソン町パラカパオ地区の展望台付近の該当区間をすべての車両に対して一時的に通行止めとした。

当該区間は継続的な降雨と地盤の変動により深刻な構造的損傷を受けたため、直ちに両方向の交通を停止した。

迂回路、復旧、そして影響

DPWH北ミンダナオ地方事務所は、運転者に代替ルートの利用を呼びかけている。

軽車両:セイヤー・ハイウェイのジャンクション付近からバレンシア市、カパロン、タラインゴッド、バレンシア道路を経由するカガヤン・デ・オロ–タグム間ルート

大型車両:カルメン、カバカン、キダパワン、ディゴスを通るブキドノン–ダバオ市道路ジャンクション経由のマラマグ–ダバオ間ルート

交通整理員、DPWH職員、地方自治体関係者が、迂回路沿いにバリケードや標識を設置し、渋滞防止と安全確保に努めている。

この土砂崩れはインフラを破壊しただけでなく、尊い命も奪った。約1週間に及ぶ捜索・収容活動の末、救助隊はエリー・ウバタイさんとテルマ・ウバタイさん夫妻の遺体を発見した。夫妻は2024年の大規模土砂災害を生き延びたが、今年の崩落では悲劇的な最期を迎えた。

夫妻はブキドノン州キタオタオ町の住民で、ケソン中央市場からの帰途に土砂崩れに巻き込まれた。遺体は互いを抱きしめるような姿で発見され、数日間にわたり土砂とがれきを掘り進めていた救助隊やボランティアの心を深く打った。

夫妻の小型三輪車(バオバオ)は、403旅団および第10歩兵師団の捜索犬の協力により、厚い泥の下から回収された。

復旧計画と汚職問題の波紋

DPWHは、被災道路の修復にとどまらず、今後の土砂災害リスクを最小化するため、長期的な斜面保護および排水システムの整備を計画している。

アパレシオ技師は、BuDa道路の複数区間が急峻な地形と軟弱な土壌構成のため、土砂災害の危険性が高いと指摘した。DPWHは、鉱山地質局(MGB)や地方防災評議会と連携し、擁壁構造や土壌補強杭工法、斜面安定化対策の導入も検討している。

今回の崩落事故は、公共事業や洪水対策事業をめぐる汚職問題への関心が高まる中で発生した。

最近の報道では、ミンダナオ高地を含む複数地域で、国会議員や地方当局者が関与した過剰見積もりや粗悪施工のインフラ事業が指摘されている。これにより、政府事業の透明な監査や災害リスク地域での厳格な監視が求められている。

DPWHのディゾン長官は、以前から、地質災害リスク地域における主要事業を全面的に見直し、安全基準遵守を徹底すると表明していた。

さらに今回の事故は、近年発覚した数十億ペソ規模の洪水対策事業汚職疑惑を背景に、国民の怒りを再燃させている。

報道によれば、アコ・ビコル党のザルディ・コ下院議員をはじめ複数の政治家が、巨額の不正予算配分に関与したとされる。過剰見積もり、架空事業、施工不良などが確認され、説明責任や税金の適正使用への疑念が広がっている。

DPWHの技術チームが現場で試験・復旧作業を続ける中、地域住民や商業関係者、通勤者は、ミンダナオの地域間連携の象徴とされてきたBuDa道路の再開を待ち望んでいる。

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