
サラ・ドゥテルテ副大統領は、行政府と立法府の間で政治的緊張が続く中、2025年7月28日に予定されているフェルディナンド・ボンボン・マルコス・ジュニア大統領の「一般教書演説(以下SONA:State of the Nation Address)」への出席について、態度を明らかにしていない。
同月21日、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(以下ICC)本部前で在留フィリピン人コミュニティと面会した際、ドゥテルテ氏は下院からの出席要請に関する質問に対し、「大統領の年次教書演説を国民が聞く義務を定めた法律は存在しない」と述べた。
「法律で義務づけられているのは、大統領が国民に国家の現状を報告することです。大統領にはその責任がありますが、私たち国民にはそれを聞く義務はありません。聞くか聞かないかは、私たちの自由です」と語った。
さらにメディアから出席の可否について問われたが、明確な回答は避けた。
下院の報道官プリンセス・アバンテ氏は以前、副大統領のSONA出席を「歓迎する」と表明し、出席する場合は受け入れの準備があると述べていた。
ドゥテルテ氏はこれまで毎年SONAを欠席しており、今月初めにも今年の出席要請を辞退したことが確認された。これにより欠席は2年連続となる。
今年2月に下院で弾劾されたドゥテルテ氏は、過去に「大統領の演説には実質的な内容がない」と発言していた。
一方、マルコス大統領の4回目となるSONAが行われるバタサン・パンバンサ複合施設では、準備が本格化している。下院の警備責任者である退役警察少将ナポレオン・タース氏によると、演説当日は2万7,000人以上の警備・緊急対応要員が動員される予定だという。
今回のSONAでは、経済回復の取り組みやインフラ整備、外交面での成果が報告される見込みで、最近の訪米時に取り上げられた、フィリピン輸出品への20%関税に関する貿易交渉についても言及される可能性がある。
なお、ICCでの裁判を控え、現在ハーグに拘留中のロドリゴ・ドゥテルテ元大統領にも、下院から正式な招待状が送付されることが確認された。