7月24日、フェルディナンド・マルコス大統領(愛称:ボンボン)は、施政方針演説(以下SONA)の中で、雇用創出、保健衛生の優先事項の再重点化、幼稚園から高校までのカリキュラムの再調整などの政府の優先事項を語った。
雇用率は2023年5月の時点で95.7%に上昇しているが、マルコス大統領は残り4.3%の労働者と11.7%の不完全雇用の人々のために雇用を創出することにより「さらなる対応をしなければならない」と述べた。この目標に向かって投資や雇用を促進するため、政府は国際的なパートナーシップや協定も活用してきたと同氏は語る。今回の外遊では総額710億ドル、3兆9,000億ペソの投資額が推定され、17万5,000人の雇用を生み出す可能性があるとした。
フィリピン海外出稼ぎ労働者(OFW)については、彼らの安全な労働環境を確保するため、受け入れ国や国際社会との関与を継続することを約束した。医療、観光、サービス業、エンジニアリング、建設、I Tの分野でフィリピンとの二国間労働協力に関心を示している国があるという。
「我々の優先事項は、倫理的な採用、公正な雇用、安全で秩序あるフィリピン人の移住という原則が、他国との協定に確実に盛り込まれるようにすることだ」とマルコス大統領は強調した。また、約5万人の労働者の雇用継続と、欧州連合(EU)の船舶へのさらなる人員派遣も保証されているとのことだ。
教育分野では、サラ・ドゥテルテ副大統領権教育大臣の尽力を「フィリピンの全ての若者が適切で質の高い教育を受けられるように支援している」と称賛した。大統領によると、昨年入学した410万人の大学生のうち、半数近くが「質の高い高等教育へのユニバーサルアクセスプログラム」による高等教育無償化の受益者であったという。
同時に、学校の教員の充足や、教員の負担軽減のための事務職員の追加採用も行われているほか、幼稚園から高校までのカリキュラムも、国際的な水準に対応できるよう再調整されていると大統領は明かした。
保健分野では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで学んだ教訓を生かし、コロナ禍で露呈した弱点に対処しながら、優先順位の見直しを図っているという。現在、保健医療システムは、質・量の両面で、公衆衛生施設の増加を通じた構造的強化が行われている。
コロナ禍で失われた雇用は回復してきたものの、20人に1人は職を失っており、10人に1人は不完全雇用に苦しんでいる。また教育分野への注力は、独立記念日のサラ副大統領の演説でも強調されたことであり、重要度の高さは言うまでもない。次回のSONAまでに、今回語った内容がどのように進展する、あるいはしないのか、大統領の手腕に注目だ。