
ダバオ市の次期副市長であるセバスチャン・バステ・ドゥテルテ氏が、ロビン・パディリャ上院議員の一時離任に伴い、PDP–Laban(フィリピン民主国民同盟)の党則に従い、同党の臨時党首に就任した。
PDP–Labanの党憲では、党首に一時的な空席が生じた場合、執行副党首が臨時でその職務を引き継ぐことが定められている。
この発表は2025年6月16日、党関係者により行われたもので、パディリャ氏が第20回国会での立法活動に専念するため、党首職からの一時離任を正式に申し出たことが明らかにされた。
パディリャ氏は、PDP–Labanの副議長アルフォンソ・クシ氏宛の書簡において、一時的な離任の理由を説明。党の基本理念に沿った優先法案の立案・推進に集中するための判断であり、特に「連邦制」「国家防衛」「社会正義」といった分野に注力したいと述べている。
「私の目的は、上院議員としての職務、とりわけ第20回国会の開会に向けた準備に集中することです」と、パディリャ氏は記している。
また、2025年5月の中間選挙では、PDP–Labanの候補者を支援するために多大な時間と労力を注いだ結果、党の全国的な運営まで手が回らなかったことも明かした。
パディリャ氏は選挙期間中、全国各地の選挙集会に登壇し、党候補への支援を積極的に行うなど、目立った存在感を示していた。彼の指導のもと、PDP–Labanは、現政権寄りの候補者や、ロドリゴ・ドゥテルテ元大統領の政治勢力と連携する地方および全国候補を複数支援した。
一方、ドゥテルテ元大統領の三男であるセバスチャン・バステ・ドゥテルテ氏(36歳)は、2022年から2025年までダバオ市長を務めた後、直近の選挙で副市長に当選。また、PDP–Labanの執行副党首も務めており、党規定に基づき党首代行に指名された。
党首代行として、バステ氏は今後の党内会議を主導し、2028年の国政選挙に向けた戦略の再編を進めていく見通しだ。党内関係者によれば、今回の人事は、国内政治の再編が進む中にあっても、PDP–Labanにおけるドゥテルテ一族の強い影響力を維持する意図があると見られている。
一時的に職務を離れるものの、パディリャ氏はPDP–Labanへの揺るぎない献身を党員に改めて表明し、党の現議長であるロドリゴ・ドゥテルテ前大統領への忠誠も重ねて強調した。
この移行は、2025年5月の選挙で地方および国政の両レベルにおいて一定の影響力を維持したPDP–Labanが、政治的立場の再構築を進める中で行われた、極めて重要なタイミングでの動きである。