【特集】ストレスをヨロコビに変える?まずは覚えたいビサヤ語マジックワード5選 ~ビサヤ語コラムその弐 ~

前回は【特集】「ビサヤ語」とは?~ビサヤ語コラムその壱~と題し、正しいビサヤ語なんてものはありませんよ。ですから、あまり気負わずに勉強しましょう。これだけいろんな種類のビサヤ語があるんですから、伝わるならそれでいいんですということを書かせていただきました。

繰り返しになりますが、ビサヤ語が話せたほうが、ダバオでの生活は断然楽しくなります。人々の反応がガラリと変わります。しかし、ビサヤ語は難しい言語でしょうか?ご安心ください。そんなに難しい言語じゃありません。そもそも言語の難しさというのは「自分の一番得意な言語にその言語がどのくらい似ているか」で決まります。

スペイン人にとってポルトガル語やイタリア語を覚えるのはさほど難しいことではありませんし、ブルガリア人にとってロシア語の習得は中国語を学ぶよりずっと簡単です。この考え方でいくと、日本人にとって習得が簡単なのは韓国語、そして漢字の強みで中国語、そして文法構造が比較的似ているということで、トルコ語やハンガリー語なども挙げられます。

逆に、英語やロシア語は超難関です。そんな中では、日本人とビサヤ語の相性は、まあまあいい方で、「特別な文字を覚えなくていい」「英語みたいにスペリングを覚えなくていい」「発音や聞き取りもさほど難しくない」というだけで、かなり難易度は下がるんじゃないでしょうか。

とはいえ、ちゃんとビサヤ語が話せるようになるには、それなりの期間の学習が必要になります。でも、まずは「言葉が通じるヨロコビ」をみなさんに知っていただきたいので、「これを口にするだけで、なんかすごくビサヤ語ペラペラっぽく見える!」という、魔法のような言葉をいくつか紹介します。

まずは覚えたいビサヤ語マジックワード5選

Sige (スィゲ)

・人に何かを譲るとき。「どうぞ」
・人に何か許可を与えるとき。「いいよ」
・お別れのあいさつ。「じゃあね」
・相手の行動を後押しするとき。「いけいけ」

これはタガログ語でも共通で、フィリピン全土で有効ですので、本当に便利です。お金を支払うときに「Sige」って言うだけで、不愛想な店員さんも顔をほころばせ、次回は対応が良くなるかもしれません。

Diay? (ディアイ?)

・相手の発言に驚いたとき。「マジで?」

こういう「合いの手」みたいな言葉を的確なタイミングで使うだけで、すごくペラペラっぽく見えます。こういう相槌には他にも「Mao ba?」「Ay」「Gani」「Lagi!」などいろいろありまして、覚えるととっても会話が弾みます。でもまあ、それはまたいずれ勉強することにして、まずは一番簡単に使える「Diay?」から覚えましょう。

~na lang. (~ナラン)

・「しょうがないから~でいいや」

ダバオ暮らしは妥協の連続です。メニューにあるはずの料理がなかったり、開いてるはずの時間なのに店が閉まっていたり。サンミゲールライトを注文したのに、ピルセンしかありません、と言われて、じゃあ、それでいいや、とオーダーするときは「Sige, Pilsen na lang」と言いましょう。

行きたかった食堂が閉まっていたときは「Jollibee na lang」と妥協しましょう。「もういいよ、俺がやるから」という時は「Ako na lang」、料理が余って、これどうしようか?となったときに、「まあ、犬にでもあげるか」という時は「Dog na lang」です。

あ、犬はビサヤ語で「Iro」と言うので、そっちを覚えて使えればそのほうがいいですけど、分からない単語は基本、英語でもOKです。英単語を文の中に自由に使えるのもビサヤ語のいいところです。「Sunday na lang」、「Tomorrow na lang」、「House na lang」、「Blue na lang」…。

それぞれ、どんなシチュエーションなのか想像してみてください。ちなみに「さっきのsigeと組み合わせて「Sige na lang」と言うと「じゃあもういいや」という意味になります。

Ana ana(アナ アナ)

・身振りをしながら言うことで「ほら、あの、こういうやつ」と説明できる

これほど便利な言葉はありません。この言葉自体には意味はないんですが、会話での使用頻度は、20年くらい暮らしている私でさえトップランクです。ノコギリとか釘とか鍋とかオタマとか、とっさに単語が出てこないときは、アナアナ、と言いながら身振りすることで、相手が「ああ、アレね」と理解してくれます。

Asa ang ~?(アサ アン ~?)

・~はどこですか、の意味。

ダバオのスーパーやモール、市場はどこに何が売ってるのかとっても分かりにくいですよね。歯磨き粉と歯ブラシはそばに置けばいいものを、なぜか遠く離れて売ってるような店が少なくありません。そんなときは「Asa ang toothbrush?」と聞けばOKです。歯ブラシって何て言うんだっけ?と思ったらすかさず歯磨きの身振りをしながら「Ana ana」です。

「Asa ang ana-ana?」で大抵のものは見つかるはずです。ちなみに、どこにあるかをビサヤ語で説明されても分からないので、指差しながら「どっちの方向?」っていう感じで質問すると「あっちだよ」と相手も方向を示してくれるので、初心者には案外そのほうが分かりやすかったりします。

と、とりあえず5つだけ紹介しました。買い物の際には「Asa ang ana-ana?」のコンボは非常に便利です。ただし、これを言っても結構な高確率で「Wala(ないよ)」という返事が返ってくるので、そんなときは「Diay?」と驚いて見せてから「Sige na lang.」と残念そうに言えば、ここで覚えた表現を全部使えます。使うタイミングを見計らっていれば、いつもはストレスだった妥協が、ビサヤ語使えた!っていう達成感に変わるのでぜひお試しを!

筆者プロフィール
澤村 信哉

児童養護施設ハウスオブジョイ 代表 Manager

1976年北海道生まれ、横浜国立大学教育学部卒。
大学時代にフィリピンを放浪するうちに日本語教育に目覚めてフィリピン日系人会学校の日本語教師となる。

教鞭をとる傍ら教材作成や教員養成にも携わり、ミンダナオ国際大学が開校する際にはカリキュラム作成にも参加。8年間の教員生活中に、1000枚の絵カードと、17冊の日本語教科書を作成、出版。

その後、キリスト教の神父になることを思い立ち、修道院に入るがすぐに合わないと気付き、今度はなるべくフィリピンに似ていない国に住みたいとブルガリアに移住。日本語教師として2年間を過ごす。

2008年、フィリピン放浪時に出会った児童養護施設ハウスオブジョイの創設者が病気に倒れたことを知り、フィリピンに戻り、施設の運営を引き継ぐ。現在は20人のこどもたちを現地スタッフたちと共に育てている。

特技は20種類の楽器演奏と、主たる収入源でもある似顔絵描き。