【News】ダバオ市で乳製品加工拠点開所-地元産乳製品を軸にミンダナオ農業が新たな挑戦

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ダバオ市マラゴスに新たな加工施設が開設され、ミンダナオは新鮮な生乳の主要供給地を目指す取り組みをさらに強化している。これにより、地域内で高品質な乳製品を生産・加工する体制が一層整備された。

カスガ・アグロ・イノベーションズ(Casuga Agro-Innovations)は、2025年12月8日、政府関係者や開発パートナー、金融機関、地元企業関係者らが出席する中、新施設を開所した。

長年、ミンダナオの農業といえばバナナ、ココナッツ、カカオなどのプランテーション作物が中心で、生乳の生産規模は小さかった。そのため、家庭や各種施設はルソン島からの供給や輸入乳製品に頼らざるを得なかった。

マラゴスの新施設は、ミンダナオにとって大きな転換点とみられている。これまで生乳のまま販売したり遠方まで輸送したりしていたミンダナオ産の牛乳が、島内で加工できるようになったためだ。支援者らは、この変化により農家の収入向上や物流損失の削減が期待され、地域の人々が地元産の新鮮な牛乳をより安定して利用できるようになると見込んでいる。

関係者は、この工場が新設備の導入にとどまらず、ミンダナオの農業構造そのものの転換を象徴していると話す。施設では、生乳や殺菌乳、ヨーグルトに加え、タブレア・ミルクなどの付加価値製品の加工も行い、酪農家やカカオ農家を学校給食プログラムや法人需要など、より安定した高付加価値市場へとつなぐ役割を果たす。加工を島内で完結できることで、ミンダナオは輸入乳製品への依存を減らし、地域の農業関連事業をさらに強化できるようになる。

国家酪農局(National Dairy Authority)、農業省ダバオ地方事務所(DA-11)、科学技術省ダバオ地方事務所(DOST-11)、ダバオ市農業事務所などの機関は、近年、乳牛群の育成や飼料体系の改善、協同組合への支援、乳製品加工が可能な中小企業の支援に力を注いできた。これらの取り組みは、ダバオ、ブキドノン、その他の高地県における、より組織化された乳業回廊の基盤を着実に築きつつある。

加えて、金融機関や開発機関も重要な役割を果たしてきた。助成金や技術導入支援、事業資金の提供を通じて、加工業者や農家グループが事業の近代化を進め、食品安全基準を導入し、市場への対応力を高めることを支援している。こうした取り組みの連携により、農家の近くで生産・加工・販売が行われる新たな乳業エコシステムが形成されつつある。

開所式で登壇者は、ミンダナオの乳業の発展はまだ途上にあるものの、その勢いは着実に高まっていると述べた。研修センターや農業学校、近代的な手法を取り入れる生産者たちが、地域内で価値を循環させる「農場から市場へ」の仕組みを強化している。ダバオの高地地域であるカリナン、マリログ、バギオ地区は、涼しい気候と安定した農業支援により、乳農家の拠点として成長している。

ダバオ地方発のイノベーションも乳業の成長を後押ししている。生産者たちは、世界的に知られるダバオのカカオと、新鮮な乳製品を組み合わせたタブレア・ミルクなど、地域文化に根ざした製品を開発している。この取り組みは、ミンダナオの二大農業資源を活用し、独自性が高く市場性のある製品を生み出している。

登壇者らは、ミンダナオの強みは単なる生乳の生産にとどまらず、付加価値や雇用の創出、家族や学校への栄養豊富な乳製品の提供にもあると強調した。マラゴスの施設は、その変化を象徴する最新の例であり、ミンダナオが単なる原料供給地域から乳製品加工の新たな担い手へ進化していることを示している。農村世帯にとっては、小規模農家の収入安定や加工・物流分野での雇用増、子どもたちへの新鮮な牛乳の安定供給など、幅広い恩恵が期待される。

カスガ・アグロ・イノベーションズの社長兼CEO、チェリリン・カスガ氏は、「ミンダナオでは既に準備が整い、農家も企業も準備ができている。必要なのは、より深いパートナーシップと、マラゴスのような地域から、地道に価値を築き上げることを信じ続けることだ。この施設はその第一歩にすぎない」と述べた。

ダバオの農業・ビジネス界にとって、この工場の開所は、生産者や関連機関、パートナーが共通のビジョンのもと協力すれば何かが可能になることを示す好例である。

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