サマル島市(通称・以下Igacos:Island Garden City of Samal)は、10月にダバオ地方を襲った双発地震の影響で、「外国人登録制度拡大プログラム(以下Expats:Expanded Program for Alien Typing System)」の実施日を延期すると発表した。
サマル島情報課は2025年10月22日、Facebookに「当初は2025年10月27日から29日に実施予定だったが、地震の影響により2025年11月24日から26日に変更する」と投稿した。
この「Expats」プログラムは、入国管理局(以下BI)が全国的に実施している取り組みであり、フィリピン国内に居住するすべての外国人を登録し、生体情報を取得するとともに、在留資格の適正化を図ることを目的としている。同制度は、BIによる外国人登録の正確性を確保する上で重要な役割を果たしている。
2025年9月28日、サマル島市は、BIダバオ地方支局と協力し、島内に居住する外国人が入国管理法および関連規則を順守しているか確認するため、10月27日から29日にかけて「外国人登録調査(Alien Mapping)」を実施すると発表していた。
その後、2025年10月10日に、ダバオ・オリエンタル州マナイを震源とする強い双発地震が発生し、その揺れは同地方だけでなく、フィリピン各地でも観測された。
観光客数
2025年3月7日、観光省ダバオ地方事務所(DOT-Davao:Department of Tourism-Davao Region)は、ダバオ地方が2024年に410万人の観光客を受け入れ、観光収入が347億ペソに達したと発表した。
海外からの主な観光客の出身国は、アメリカ合衆国が最も多く、次いで中国、日本、韓国、オーストラリア、カナダ、イギリス、インド、シンガポール、ドイツの順となっている。
一方、「ResearchGate」に掲載された研究論文『サマル島市における観光客数のモデル化:観光関連産業の事業運営への示唆(”Modeling Tourist Arrivals in the Island Garden City of Samal: Implications to Business Operations of Tourism-Related Industry”)』によると、サマル島市は、2022年に約77万9,750人、2021年に66万7,032人の観光客数を記録した。
しかし、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の制限措置により、2020年には15万4,076人へと大幅に減少した。
サマル島の観光地
サマル島には150を超えるビーチリゾートや内陸型リゾート・観光施設があり、国内最大のリゾートアイランドシティと称されている。
世界水準の高級リゾートから、手頃な価格の宿泊施設まで幅広く揃い、多様な観光客のニーズに応えている。
サマル島では、山間部から海岸線に至るまでの美しい景観を背景に、ユニークな体験や多彩なアクティビティを楽しむことができる。
主な自然観光地には、プティン・バト山(Mt. Puting Bato)、アンガス・ピーク(Anggas Peak)、ラブト・ピーク(Labuto Peak)でのトレッキング、総延長118kmに及ぶ白砂のビーチでの遊泳や日光浴、さらに約4kmにわたるサンゴ礁地帯でのダイビングやシュノーケリングなどがある。
また、島には数千匹の巨大シャコガイ(タクロボ)が生息しており、「タクロボ・ツアーズ(Taclobo Tours)」を通じて間近に観察することができる。
さらに、世界最大規模のジョフロワ・ルーセット・オオコウモリ(Geoffroy’s Rousette)の群生地として、ギネス世界記録にも認定されている。
Expatsプログラムの重要性
BIが主導する「Expats」は、フィリピンの入国管理体制を大きく前進させる重要な取り組みである。
BIによると、このプログラムの主な目的は、国内に居住するすべての外国人を把握・監視・登録し、その生体情報を取得することにある。
政府は包括的な生体情報データベースを構築することで、国境管理体制を強化し、国家安全保障を支え、入国管理記録の信頼性を高めることを目指している。
観光資源が豊富なサマル島市においては、このプログラムの実施時期と秩序ある運用が特に重要となる。
サマル島市には数百のリゾートが存在し、かつ数千人規模の外国人観光客や、在住外国人事業者を受け入れているため、これらの個人の登録・追跡を行う堅実なシステムは、地方自治体(LGU)と国家のBI当局との連携を促進し、ビザや在留資格の遵守を確保するうえで欠かせない。
さらに、適切に運用されたExpats制度は、観光客や住民の動向の透明性を高め、無許可滞在や治安上のリスクを軽減するとともに、観光業全体の信頼性向上にも寄与する。







