現在、低地であるダバオデルノルテの多くの地域で洪水が繰り返し発生している。 この洪水を引き起こしているのが、タグム・リブガノン川(以下TLRB)での川の氾濫であり、対処するためには植生、構造、および工学的な介入が必要である。
フィリピン情報庁の環境天然資源省(以下DENR)のチェンバレン・バビエラ氏は、①植生②構造③工学の三つの視点から、洪水に対処する為のアイデアを提案している。
①植生
川周辺の植生に関わる対策は、ドイツとDENRが進めるプロジェクトの一環であり、フィリピンの2つの川の流域で生態系ベースの管理と生態系のサポートの重要性が強調されている。 このドイツとフィリピンの協力プロジェクトは、イログ・ヒラバンガン川、TLRBに技術支援を提供している。
②構造
バビエラ氏は、構造的なアプローチには、灌漑システムおよび河川ダムの建設が含まれ、これは大量の水の流れを制御する為に必要であると語った。
③工学
洪水の制御のために工学的なアプローチも実行することが重要であり、土砂の堆積が低地の地域での洪水の主な原因であると指摘している。 川床に溜まった泥を取り除くことが必要であり、具体的にはカルメンの沿岸に形成された約50ヘクタールの土地塊を、水の流れをスムーズにするために取り除く必要がある。
バビエラ氏は、自然は単なる人間の介入では全てコントロールできないものであり、取り組みは洪水の影響を和らげ、軽減するだけであるとしたうえで、TLRBによる継続的な生態系の保護や、災害発生時に備えて適応性のあるコミュニティを構築することの重要性を強調した。
備えあれば患いなし、である。専門機関だけによる取り組みだけでなく、避難訓練や災害に対する知識をつける授業など、住民も巻き込んで対策する必要がある。