日本には数々の勲章・褒章があるが、その中に、旭日章というものがある。これは社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた人を表彰する場合に、男女に共通して授与される勲章である。そしてその叙勲者の中に、ダバオの女性がいた。
日系女性ダバオ市民のイネス・山之内・マリャリ氏(Dr. Ines Yamanouchi Mallari)が、フィリピンと日本の学術協力並びに相互理解の促進に貢献したとして、天皇陛下から旭日中綬章を授与された。
叙勲授与式は2022年7月16日(土)、ダバオ市のDusitD2 Davao Hotelで行われた。
ミンダナオ国際大学の学長であるマリャリ氏は、このような栄誉を受けるとは思っていなかったという。
「この賞は70歳前後で社会的に確かな実績がある方が受賞されることが多いと聞いていたので、自分が受賞できるとは思っていませんでした。」とマリャリ氏は語った。
在ダバオ日本国総領事館の石川義久総領事によると、この賞は政治、経済、社会、文化、教育など様々な分野において、日本とフィリピンの二国間関係の発展に卓越した貢献を継続的に行っている著名人に贈られるもので、今回の受賞は、その功績が認められたものである。
「彼女は毎年行われるダバオ日本人移住者慰霊祭の共同主催者としても協力しています。また、日本国籍回復のための日本人子孫の調査や聞き取り調査にも大きく貢献しています。」と石川義久総領事は語った。
マリャリ氏がこれまでに始めたプログラムや活動については、これからも続けていくとのこと。
「私の使命はまだ終わっていないので、この賞を原動力としてフィリピンの日系人の生活や地位をさらに向上させるような、価値ある新しいプロジェクトや活動にも着手していきます。」と、マリャリ氏は締めくくった。
補足だが、イネス・山之内・マリャリ氏は平成13年にフィリピン日系人会国際学校の校長に就任。また翌14年にミンダナオ国際大学設立に参加し、平成22年からは同大学学長を務めている。マリャリ氏のイニシアティブの下、これら教育機関においては、日本語を含む日本関連の課程が多数組み込まれており、同氏はこれまで日・フィリピン間の交流及び日本文化の普及を推進してきた。また、日系三世であるマリャリ氏は平成24年以降、フィリピン全国の日系人を代表するフィリピン日系人連合会会長を務めており、日系人コミュニティの若い世代を担うリーダーの育成、日本人移住者等を称えるための「慰霊祭」定期開催、フィリピン残留日系人二世の就籍推進事業への支援といった諸活動を通じて、日系人の地位向上や日・フィリピン両国の交流に大きく貢献している。