燃料価格の高騰は、ダバオに留まらず、フィリピン全体の問題になっている。マニラでは、継続的な上昇を踏まえ、バスの稼働率を大幅に下げたため、運転手を含む約26,000人の地方バス労働者が職を失った。これを受け、シャーウィン・ガッチャリアン(Sherwin Gatchalian)率いる上院エネルギー委員会は、燃料価格の高騰に照らして、関係する政府機関やエネルギー部門の関係者と協議会を開いた。
フィリピンの地方バス事業者協会の常務理事であるアレックス・ヤーグ(Alex Yague)は上院議員に対し、「私たちバス部門は、ディーゼル価格高騰の影響を受けています。最後の運賃値上げは2018年10月でした。そして、今年の5月と6月には、マニラに入るたびに支払っている通行料が増えました。通行料は約6パーセント増加しました」と語った。
ヤーグ氏によれば現在、地方バスの20〜30パーセントしか運行されていないとのこと。これは、およそ5,600台ものバスが運行されておらず、運転手、車掌、切符販売員を含む約26,000〜28,000人の労働者に影響を及ぼしていることを意味する。
日本バス協会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、会話や食事、飲酒などを禁止し、バスを限りなく「移動」に近いものにすることでバス事業を守ってきた。この国ではどうだろうか。燃料の値上げを考慮することはもっともだが、バスの数を減らすのが現状唯一の解決策なのだろうか。フィリピン人にとっても、遠出といったらやはりバスだ。街行くバスに乗客が多いのは、無論、コロナ禍以前からである。むしろ、バスの稼働率を下げた結果、ターミナルに行列ができてしまうのは、感染症対策という観点からすると、悪循環のような気がしてならない。