世界中でワクチン接種が進む中、ワクチン接種に反対する活動も見受けられる。日本でも先日、飛行機に搭乗する際マスク着用を拒否した議員のニュースがあったばかりだ。そして、ここダバオ市の街中にも、「ある広告塔」が立てられた。
この広告塔は、フィリピン人の自由およびインフォームドチョイスに関する同盟(the Alliance of Filipinos For Freedom and Informed Choice: AFFIC)のものだ。同団体は、先週からダバオ市で開始された5~11歳の子どもたちへのワクチン接種に異を唱えている。広告塔には、子ども視点からワクチン接種を決断した保護者に疑問を呈する言葉が書かれており、「NAY, TAY, NGANO IMO KONG PABAKUNAHAN?(お母さん、お父さん、なんでワクチンを受けさせるの?)」と看板の上には書かれている。このタイトルは、健康であるから、子どもたちがワクチンを接種する理由が見当たらないことから来ている。
この看板には、ワクチンが必ずしも新型コロナウイルスから身を守ってくれるとは限らない、ワクチンの効果はまだ実験段階であり、生命に何らかの影響を与える可能性もあると書かれている。さらに、法令を引用し、政府や製薬会社はワクチンの安全を保障していない、ワクチン接種は登校するための必須条件ではないとも指摘した。そして、「お母さん、お父さん、このことについて考えて」という言葉で、看板に書かれたメッセージは締めくくられた。
同団体は、2月13日にもリーフレットを配布し、市民に「安全性と効果が証明されるまで、新型コロナウイルスワクチンを急いで接種する必要はない」と呼び掛けている。
行政の反応はどうだろうか。保健省ダバオ支部のGerna Manatad医師は、2月21日のオンライン記者会見にて、ワクチン反対活動をおこなうダバオ地方にいる人物や組織に関する報告を受けており、彼らがSNSなどをつうじて情報を発信していることを把握していると述べた。そして、「子どもたちや高齢者、医療従事者といった、守らなければならない人たちを実際に守っているため、このような活動を好ましく思いません」とコメントした。また、重症化したり死亡してしまったりする人たちのほとんどはワクチンを接種していないとのデータも示した。
ワクチンを接種するか否かは、本人の意思が尊重される。最も大切なことは、全員の意見が尊重され、差別が起きないようにすることだろう。