ミンダナオ島には豊かな自然があり、そこに住まう生物の中には独特なものもいる。ミンダナオ大学甲虫類研究センターは、この度、ダバオ市で発見された新種の稀少なカブトムシに命名をした。この発見は、著名な科学誌にも投稿されている。
このカブトムシは「Metapocyrtus (Orthocyrtus) davaoensis」と命名され、ミンダナオ大学と同プロジェクトに協力した教授らがおこなった「ダバオ市における、都市部の生物多様性およびその保護(Urban Biodiversity Research and Conservation of Davao City)」という研究調査で発見された。
この新種のカブトムシが希少種となったのは、その発見された場所に理由がひとつある。ダバオ市のCalinanで発見されたこの新種は、消滅しゆく緑地の中でなんとか生き残ったものだ。また、体の模様も独特なパターンになっている。今回の調査研究をおこなった一人のAnalyn Cabras博士は、「密林で新種が見つかったというのは、あまり驚きはないのですが、開発され尽くした荒地で新種が見つかるというのは珍しいことです」と語った。
調査チームによると、今回、新種が都会の真ん中で見つかったことには、2つの意味があるという。ひとつは、昆虫(特にカブトムシ)に関する科学的研究がまだ不十分であることだ。それは、今回、都市部で新種が発見されたことからも指摘できる。そして二つ目は、ダバオ市に残っている緑地を早急に保護する必要があるということである。今回の研究は、この点を主張することが主な目的となっている。
今回の発見を踏まえ、調査研究をおこなった研究者らは、ダバオ市の立法に携わる議員に対して生物多様性に関する基礎研究の支援と、市に残っている緑地の保護を最優先課題とすることを望んでいる。
ダバオ市の開発が進む中、今回見つかった希少種のカブトムシは、残された自然を頼りに命をつないできた。他にも、この限りある自然の中に取り残された生物はいないだろうか?今後の研究の動向や、市の対応に注目したい。