
拘束中のロドリゴ・ドゥテルテ元大統領が、違法薬物撲滅戦争の過程で少なくとも78人に対する殺人および殺人未遂の罪で起訴された。
2025年9月22日に、国際刑事裁判所(以下ICC)が公開した「起訴内容を含む文書」の編集済み一般公開版によると、ドゥテルテ氏には以下の罪が問われている。
第1項目:
2013年から2016年頃にかけて、ダバオ市長在任中に発生した少なくとも9件の事件において、19人を殺害したとされる「人道に対する罪としての殺人」。この罪は、間接的な共犯、命令、教唆、または幇助によって行われたとされている。
第2項目:
2016年から2017年頃の大統領在任中、フィリピン各地で「ハイバリュー・ターゲット(重要標的)」とされた14人が関与した、少なくとも10件から14件の事件において、「人道に対する罪としての殺人」の罪で起訴された。この罪は、間接的な共犯、または命令・教唆・幇助によって行われたとされている。
第3項目:
2016年から2018年頃の大統領在任中、フィリピン全土で実施された「バランガイ(行政区)・クリアランス作戦」に関連し、45人(うち43人が死亡)を対象とした15件から49件の事件において、「人道に対する罪としての殺人および殺人未遂」の罪で起訴された。この罪も、間接的な共犯、あるいは命令・教唆・幇助によって行われたとされている。
ICCは、ドゥテルテ氏が起訴された殺人および殺人未遂について、「起訴された期間中の被害の実態は、起訴内容に示された件数をはるかに上回っており、その広範かつ組織的な攻撃の性質がそれを示している」と指摘した。
ICCが公表した文書によれば、「ドゥテルテ氏とその共犯者らは、国家警察(PNP)、麻薬取締庁(PDEA)、国家捜査局(NBI)、矯正局(Bureau of Corrections)などの法執行機関の職員に加え、非警察系の協力者や殺し屋を含む『国家関係者ネットワーク』を構築した。彼らは、共通の計画(コモン・プラン)に基づき、DDS(ダバオ・デス・スクワッド)と同様の手法で、犯罪容疑者の殺害作戦を実行していた」とされている。
さらに、「被害者の一部は、『PRRD(President Rodrigo Roa Duterte)リスト』に記載されており、標的はその『価値』に応じてレベル1から5に分類されていた。
このリストに基づき標的を殺害した警察官は、通常の公式な報奨制度とは別に存在する秘密の報奨制度を通じて、標的のレベルに応じて5万〜100万フィリピン・ペソの報奨金を受け取ることができた」とも記されている。
またICCは、3月に逮捕されたドゥテルテ氏の訴訟に関し、弁護人から「被告は裁判を受けられる状態にない」との申し立てがあったことを受け、予定されていた予備審問の開始を延期した。