
フィリピン統計庁(以下PSA)によると、2025年7月のダバオ地方の消費者物価指数は、前年同月比で0.4%下落し、6月の0.6%の上昇から一転してデフレに転じた。これは、食料品や住宅関連費用、公共料金の値下がりが主な要因とされる。
前年同月(2024年7月)の5.1%というインフレ率と比べても、物価動向に大きな変化が見られる。
PSAは、特に「食料およびノンアルコール飲料」の価格が前年比で2.4%下落し、「住宅・水道・電気・ガスなどの生活関連費」が6月の1.8%上昇から7月には1.0%の下落に転じたことが、今回のデフレの主な要因だと説明している。
7月の食品インフレ率は、前月のマイナス1.9%からマイナス2.8%へとさらに低下した。中でも、米やトウモロコシを含む穀物およびその加工品は、それぞれ13.1%および14.4%の二桁減を記録した。野菜も5.8%と大幅に値下がりした一方で、果物やナッツ類の価格上昇は緩やかだった。
こうした全体的な価格下落のなかでも、一部の食品は値上がり傾向を示した。油脂類は17.4%と大幅に上昇し、牛乳などの乳製品も6.5%の値上がりを見せた。砂糖や菓子類も数カ月にわたる下落の後、わずかに0.1%上昇に転じた。
酒類・たばこ類のインフレ率は4.2%まで緩和され、衣類・履物は2.4%に鈍化した。交通費も2.0%の下落となった。
教育サービスは依然として10.4%と二桁のインフレ率を記録しているが、6月の11.7%からはやや鈍化した。
一方、医療サービス、情報通信、パーソナルケア用品の価格は前月よりやや速いペースで上昇した。
デフレはダバオ地方全体に広がっており、最も大きな下落幅を記録したのはダバオ・オクシデンタル(−2.4%)、次いでダバオ・デ・オロ(−2.1%)、ダバオ・オリエンタル(−1.8%)だった。ダバオ・デル・ノルテ(−1.3%)、ダバオ市とダバオ・デル・スールは、それぞれ0.6%の緩やかなインフレとなった。
全国では7月のインフレ率は0.9%と6月の1.4%からさらに鈍化し、ダバオ地方は北ミンダナオ(−0.6%)、ソックサージェン(−1.3%)、バンサモロ(BARMM・−1.7%)とともにデフレ傾向を示す地方に含まれている。一方、最も高いインフレ率を記録したのはイロコス地方の1.9%だった。
こうした物価の下落は、過去2年間にわたり高い生活費に直面してきた世帯にとって、短期的な負担軽減につながる可能性がある。
企業、特に小売業や外食産業にとっては、商品価格の下落が原材料コストの軽減につながる一方で、一部の分野では消費者需要の低迷を示す兆候とも受け取れる。