
Central 911の関係者は、まもなく導入が予定されている「全国共通911緊急通報システム」について、同機関とは正式な調整や連絡が行われていないことを明らかにした。
Central 911の法執行・通信・救助部門(LECRD)部長代行であり、ダバオ市災害リスク削減管理局(CDRRMO)の訓練統括責任者も務めるリンドン・レオビック・アンカハス氏は、内務地方自治省(以下DILG)から正式な通知や協議を一切受けていないと明らかにした。これは、2025年8月から9月に国家レベルの緊急通報システムが開始されるとの報道があるにもかかわらず、同局との連携が行われていないことを意味している。
6月20日付の『デイリー・トリビューン』紙によると、DILGのジョンビック・レムーリャ長官は、刷新された国家911緊急通報システムが、2025年7月までにマニラ首都圏、セブ、そしてダバオで本格的に運用を開始する見通しであると発言している。
アンカハス氏は、この発表がダバオ市ではなく、ダバオ地方全体を指している可能性があるとの見解を示した。ダバオ市では、すでに2002年から911緊急通報システムが導入・運用されているためである。
アンカハス氏は、2025年6月6日に行われた市長室での取材に対し、「おそらくDILGの意図としては、何らかの調整や連携を図る程度の話なのかもしれません。ただ、“活性化”という意味であれば、正直なところ、その必要性は感じていません」と語った。
国家レベルの取り組みが、既存の地域システムを中央のネットワークに統合することを目的としている可能性を認めつつも、アンカハス氏は、ダバオ市の911はすでに独立しており、効率的に運用されていると強調した。
「こちらでは、911に電話すれば、すぐに地元の部隊が対応します。一部の地域では、一度マニラに転送されてから地元に回されるため、対応までに時間がかかってしまうのです」と説明した。
なお、DILGは以前、国家システムが本格稼働すれば、すでに緊急対応拠点を持つ多くの地方自治体(LGU)が、地域の指令センターとしての役割を担うことになると述べている。
ダバオ市の911システムは、当時市長であり、のちにフィリピン大統領となったロドリゴ・ドゥテルテ氏の主導により、2002年に米国の911をモデルとして導入された。警察、医療、救助、K9(警察犬)などの各種サービスを一本化したホットラインに統合することで、迅速かつ連携の取れた対応を実現している。
現在、このシステムはバガニハン、カリナン、トリル、パナカン、カバンティアンの5か所に支所を設置しており、今後はラサンおよびマラボグへの拡張も計画されている。
2016年にはCentral 911が国家緊急ホットラインのモデルとして採用され、その後も数々の表彰を受けてきた。なかでも2024年には、防災および緊急対応分野において地方自治体に贈られる最高位の栄誉「ガワド・カラサグ(Gawad KALASAG)殿堂賞」を受賞している。