コロナ禍が明け、通常の市民生活を取り戻したフィリピンだが、その一方で考えなければならない問題も浮上しつつある。専門家によると、フィリピンでのCovid-19ワクチンの廃棄量は、市民の関心の低下とともに徐々に増加している。
保健省(以下DOH)は最近、主に医療従事者と高齢者を対象とした2価(オミクロン株対応)ワクチンの利用が遅れており、有効期限が近づいているため、一般に提供すると発表した。
公衆衛生の専門家であるTony Leachon博士によると、ワクチン接種を受けようとする人々の関心が下がり続けていることがワクチン廃棄の増加の原因であり、誤った情報や輸送の問題、取扱担当者の配備が十分でないことも要因として考えられるという。「陽性率も下がっており、現在は5%以下。そのためワクチンの供給も、接種を受ける人も減少している」とLeachon博士は語った。
一般市民にあたるMae Mallanoさんは1回目のワクチン接種の後、2回目の接種を受けないことにした。「もうこれ(ワクチン接種)は優先事項ではない」とのことだ。
昨年12月時点でDOHは4,400万回分のワクチンを廃棄したことを明らかにしている。今回の2価ワクチンの期限は9月。残すところ1ヶ月と少しだ。新型コロナウイルスのニュースもめっきり減ったし、対照的にコロナ禍明けの復活を象徴するニュースが散見される。しかしその裏で忍び寄る問題にも目を向けていきたい。