ダバオ市-サマル島間の橋建設であるが、直前になって地主との交渉に難航しているようだ。お互いに歩み寄りをするための「行政による改善策」が求められており、最悪の場合は裁判にもつれ込む可能性もあるようだ。
地主であるロドリゲス家およびルカス家の弁護士を勤めるラモン・エディソン・バタカン氏によると、フィリピン国公共事業道路省(the Department of Public Works and Highways:PDWH)が環境コンプライアンス証明書(Environmental Compliance Certificate:ECC)に基づいて行なっている現在のプロセスは、1981年から続く「大統領宣言による命令No.2152」を遵守していないという。さらに同氏は、PDWHがECCの1つである保護地区運営委員会(Protected Areas Management Board:PAMB)の許可を満たしていないことも指摘している。これを犯して建設を進めることは、禁固刑や罰金などの処罰が課されるような深刻な違反になるという。
また、当事者を集めたヒアリングも行なわれた。このヒアリングにて、地主であるロドリゲス家は、DPWHに環境負荷の観点から橋を建設する場所を変えるよう要請した。さらに、現状の計画では230.4億ペソかかるものが、国際協力機構(JICA)が示した場所に変えることで160.0億ペソに抑えることができ、さらに全長も短くなるため環境への負荷も抑えることができると主張した。他にも、環境への影響を考慮しないで工事を続ける場合、環境省長官のロイ・シマツ氏や、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領にもこの件を提起すると述べた。
地主たちも本意ではないが、必要となれば訴えなければならないとも語っている。彼らの望みは、橋の建設を止めることではなく、「珊瑚礁によって守られてきた環境を保護することだけ」である。両者の妥協点が見つかり、全員が納得した形で工事が始まってほしいと願うばかりだ。