
2025年10月13日、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は、かつての盟友であるドゥテルテ一家の地盤とされるダバオ地方を訪れ、地震で甚大な被害を受けた地域の救援活動を自ら視察。1億5,800万ペソを超える政府支援を約束した。
ドゥテルテ家の強固な支持基盤として知られるこの地域への訪問について、一部では政治的な意図を疑う声も上がったが、大統領報道官クレア・カストロ氏は記者会見で次のように話した。
「みな同じフィリピン国民であり、大統領はダバオの人々が、今まさに支援を必要としていることを十分に理解しています。政治的な思惑で、大統領のダバオ訪問を妨げるべきではありません。これは政治ではなく、人道的支援です。必要な支援を届けることが最優先です」と強調した。
マグニチュード7.4の地震がマナイを襲い、その直後にM6.8の地震が続いて発生してから3日後、マルコス大統領は、ダバオ・オリエンタル州を訪問した。これらの地震により住宅が倒壊し、道路には大きな亀裂が生じ、数千世帯が避難を余儀なくされた。
大統領は、主要閣僚とともにマナイ国立高校や機能停止中のマナイ地区病院などの被災地を視察。住民と直接対話し、政府からの支援を約束するとともに、関係機関に対して救援・復旧作業の加速を指示した。
マルコス大統領は、「元知事として、地域ごとに必要とされる支援が異なることをよく理解しています。支援は、各地の被害状況や実情に応じて行っていきます」と語った。
マルコス大統領の訪問に先立ち、サラ・ドゥテルテ副大統領も、ダバオ・オリエンタル州を訪れ、被災者と面会し、被害状況を確認。副大統領府(以下OVP)南ミンダナオ支部を通じて、避難所に身を寄せる数百人の住民に、食料パック、飲料水、衛生キットなどの救援物資を配布した。
さらにドゥテルテ副大統領は、地方自治体や社会福祉開発省(DSWD)と連携し、マナイ、タラゴナをはじめとする周辺自治体で、緊急支援が最も被害の大きかった地域に確実に届くよう調整を行った。
副大統領は滞在中、ダバオ市にあるOVP事務所が、地方自治体や国の関係機関と連携しながら、今後も継続して救援・復興支援に取り組むことを住民に約束した。
1億5,800万ペソの直接支援
マルコス大統領は、現地訪問の中でダバオ・オリエンタル州に対し、総額1億5,800万ペソの緊急支援金の支出を発表。この資金は大統領府(OP)を通じて拠出され、被災地の復旧作業、緊急支援、損壊した公共インフラ、避難者への支援に充てられる予定である。
支援金配分、州外にも拡大
州政府には最大5,000万ペソが割り当てられ、残額は被害の深刻度や緊急性に応じて、以下の自治体に配分される。
- 1,500万ペソ:マナイ、バナイバナイ、ルポン
- 1,000万ペソ:タラゴナ、バガンガ、カティール、ボストン、マティ市
- 500万ペソ:カラガ、サン・イスドロ
- 300万ペソ:ガバナー・ジェネローソ
州外支援
- 1,500万ペソ:ダバオ市
- 2,000万ペソ:アグサン・デル・スール州、ダバオ・デ・オロ、ダバオ・デル・ノルテ、ダバオ・オクシデンタル、アグサン・デル・ノルテ、スリガオ・デル・ノルテ、スリガオ・デル・スール、ディナガット諸島
マルコス大統領は、これらはあくまで「初期支援」であり、ミンダナオ全域の被害評価をもとに、今後さらに支援を拡充していく意向を示した。
大地震と続く余震
フィリピン火山地震研究所(Phivolcs)によると、今回の地震はマナイ沖約10kmのフィリピン海溝付近で発生。強い揺れはダバオ・オリエンタルおよび周辺地域に混乱と甚大な被害をもたらし、インフラや生活に深刻な影響を及ぼした。
現時点で、1,200回以上の余震が記録されており、その多くは周辺州でも体感されるほど強かった。
ダバオ・オリエンタル州およびダバオ・デル・ノルテ州は「災害事態宣言」を発令し、緊急支援金や物資を迅速に配分できる体制を整備している。
初期報告では、少なくとも8人が死亡、403人以上が負傷し、10万世帯超が被災。多数の住宅が倒壊または居住不可能とされ、住民は避難所での生活を余儀なくされている。