
The Reproductive Health and Wellness Center(以下RHWC)の担当者によると、2025年5月時点で、ダバオ市におけるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染の報告件数は117件に達しており、これは昨年の数字とほぼ同水準である。
しかし、RHWCの看護師であるカーラ・メイ・セプルベダ=エジック氏は、保健省(以下DOH)のデータによれば、2025年1月時点でダバオ市内の治療施設で確認されたHIV感染者数は55件であると説明した。
この差についてエジック氏は、DOHのデータは、ダバオ市の居住者に限定した確認済みの症例のみを示しているのに対し、RHWCの記録には市外からサービスを受けた利用者も含まれているためだと述べている。年齢や性別、感染経路の詳細についての質問に対しては、守秘義務を理由に情報の開示を控えた。
RHWCの責任者であるジョルダナ・ラミテレ医師は、同センターがHIVおよび性感染症(STI)の検査、教育、予防サービスを提供していることを説明した。現在、RHWCは正式な治療拠点として機能しており、HIV感染が確認された患者はここで生涯にわたるケアを受け、抗レトロウイルス薬の処方や、定期的な血液検査を行っている。
またラミテレ医師は、高リスクの人々を対象とした無料の曝露前予防薬(以下PrEP)の提供についても強調した。
RHWCでは、毎月約400~500人の検査を実施しているが、PrEPを利用したのはまだ約1,000人にとどまると指摘した。十分な供給があるにもかかわらず、偏見が原因で受診をためらう人が多いことを懸念している。
「現時点ではまだ多くの人が利用していません。私たちは普及促進に努めており、十分な在庫もあります。RHWCのデータによると、現在までに約1,000人がPrEPを利用しています」と語った。
偏見に対抗し認識を高めるため、RHWCは特にリスクの高い主要な集団を対象に情報発信キャンペーンを強化している。
現在、ダバオ市内でHIV/AIDS患者の治療を行っている施設は3か所ある。RHWC、南フィリピン医療センター、そして保健省ダバオ地方(DOH-Davao)と提携し民間治療を提供するダバオ・ドクターズ・ホスピタルである。市外では、ダバオ・デル・ノルテ州の患者を対象にダバオ地域医療センターが診療にあたっている。
啓発活動の一環として、ダバオ市政府は、2025年5月23日午後5時から、リザール公園にて「エイズ・キャンドルライト・メモリアル」を開催する。テーマは「偏見を乗り越え、道を切り拓こう」であり、キャンドル点灯式や短いプログラムに加え、RHWCスタッフと市民ボランティアが主導する無料のHIV検査も実施される。