フィリピンでは今年の後半に予測されているエルニーニョ現象により、農業への影響が懸念されている。これに対し農業省ダバオ地方事務所(DA11)は、対策のため、10億ペソの予算を割り当てた。
DA11で災害リスク軽減分野を担うJoedel R. Leliza氏は7月4日、ダバオ市内のSM Lanangで開催されたアグリビジネスメディアフォーラムにて、予算の大部分はダバオ地方の各家庭の食料を確保するため、非被災地での生産を最大化することに充てられると明かした。
Leliza氏によると、予算のうち1,300万ペソは、被害を受ける地域の生産を援助するために割り当てられており、農業省本部の迅速な対応基金と国家災害リスク軽減管理基金を通じて資金を調達することにより、さらに支援を強化することができるという。
エルニーニョ現象により被害を受けると予想されているのは、ダバオ市、ダバオデルスル州と、ダバオオリエンタル州の一部地域である。10億ペソの予算の内訳は、2,640ペソが準備活動に、9億7,130万ペソが上記地域以外での生産の最大化に、1,350万ペソが上記地域における生産支援となっている。
今年2月の時点で、農業省第11地方支部は既にコメやトウモロコシのプログラムのような、農民への介入策の実施を含むエルニーニョ対策計画を策定していたという。また、6月、フィリピン大気地球物理天文局(Pagasa)はエルニーニョ注意報を警報に更新した。
Leliza氏はまた、予期されるエルニーニョ現象の悪影響を最小限に抑えるために、同省が国家エルニーニョ対策委員会の設立に倣うことも視野に入れていると述べた。この機関は、災害軽減準備計画を策定し、エルニーニョ現象に関する情報キャンペーンを実施し、コミュニティへの影響を軽減するための社会貢献などを行う。
今年の初めから危険視されてきたエルニーニョ現象だが、政府機関もいよいよ今月から警戒を強めているようだ。ダバオ地方の期間だけなく、ダバオ市政府も対策のために準備計画を策定しており、各自治体単位での対応も様々だ。今後も市民生活への影響に注目が高まる。