フィリピンでは、遺伝子組み換え技術を利用して、より強く成長する作物が栽培されるようになってきている。しかし、それが同時に環境への悪影響の懸念材料となることもあるようだ
農民科学者のネットワーク「MASIPAG」は、遺伝子組み換え作物のゴールデンライスとバシルス・チューリンゲンシス・ナス(以下Btナス)の市販を阻止するため、潜在的危険性を地方自治体が主導して訴えるよう求めた。この呼びかけは、4月18日、最高裁が遺伝子組み換え作物の発売を禁止するカリカサンの判決を出した時にも行われている。
MASIPAGミンダナオ地方支部のコーディネーターであるLeo Fuentes氏は、「政府は、真に農家に優しい農業と、国民に優しい食糧システムを支援することで、安全で健康的、かつ持続可能な食糧生産を促進すべきだ」と語る
同氏は、ゴールデンライスやBtナスが、環境、米やナスの生物多様性、人間の健康にもたらすダメージを警告する。代わりに、小規模農家や先住民が伝統的に栽培してきた品種の作物の消費を促進している。
最高裁は、判決文の中で、農業省(DA)、環境天然資源省(DENR)、保健省(DOH)の長官及びDA傘下の植物産業局、フィリピン米研究所(以下IRRI)、フィリピン大学ロスバニョス校の長に対して、送達から10日以内に検証済みの申請書を提出するよう求めた。
MASIPAGはDAに対し、安全性の証明と法的要件の遵守が示されるまで、これら2品目の商業栽培を停止するよう求めており、今回の判決を好意的に受け入れている。また、同組織は、ゴールデンライスとBtナスのバイオセーフティに関する許可を全て無効とすることを要求している。DAに対してはさらに、製品に関するリスクと影響評価を実施し、農民や先住民から事前にインフォームドコンセントを得るように主張した。
ゴールデンライスは、栄養失調に対処するのに役立つビタミンAの供給源であるベータカロテンを含む新しい品種の米として、DAとIRRIによって宣伝されてきた。Btナスは遺伝子組み換え作物であり、通常のナスを食害する昆虫を撃退するために独自の毒素を生成するため、有害であるとのことだ。
日本でも遺伝子組み換え作物に対する考え方は人それぞれだ。しかし、科学的に安全性が証明されないことには、消費者も安心して食料を購入するのは難しい。栄養価を考えると、安全であることさえ分かれば多くの人々の健康に役立つものとなるはずだ。良い検査結果を期待したい。