7~8年前、ミンダナオは電力危機を迎えたことがあった。電力需要は高いのに、それに見合う供給量がないということが発生したのだった。これにより電気が止まることがしばしばあり、ミンダナオに住む人々の生活やビジネスに影響を与えた。今回は、ミンダナオの電力の現状について2回にわたり伝えていきたい。
ミンダナオ開発庁(Minda)の最高責任者であるRomeo M. Montenegro氏は、登壇したウェビナーにて、ミンダナオには再生可能エネルギーを6割、再生できないエネルギーを4割使っていたことがあったと述べた。しかし、これではミンダナオの電力需要を満たすことはできなかったという。1,011.1メガワット(MW)におよぶ電力は水力発電によっても賄われたが、乾季には電力需要に応えられるほどの電気を生み出すことはできなかった。そこで、政府は複数の政策を打ち出し、電力会社の参入を促した。その後、化石燃料による発電所が複数でき、現在のミンダナオは70%が化石燃料を使う発電所となっている。
再生可能なものもそうではないものも、新しい発電所がここ数年かけて建設されてきた。しかし、今度は供給電力が上回る事態となった。Montenegro氏によると、ミンダナオは2~3年で電力の過剰供給になるのではと懸念されていた。しかし、ミンダナオの発展とともに、そのギャップは埋まりつつある。
現在のダバオ市の発展には目まぐるしいものがある。ビジネスアウトソーシング(BPO)企業は今も多くの雇用を生み、国際的なリゾートは合併を計画しており、製造業やアグリビジネスには数えきれないほどのチャンスがまだまだあふれている。資源省の試算によれば、毎年7%成長を続ければ、電力供給量が上回る状況は2027年か2028年には解消されると考えられている。そして、これに合わせてさらに電力を確保する必要が出てくるという。
その際、再生可能エネルギーを導入していくことも求められる。ミンダナオの発展にあたり、再生可能エネルギーとそうでないものが半分ずつになることが計画されている。現時点でミンダナオでもダバオデルサル州やミサミスオリエンタル州で太陽光発電所の建設が予定されており、太陽光の条件もかなりよいとのことだ。しかし、化石燃料で動く発電所と比べ、再生可能エネルギーで動く発電所は仕組みの複雑さが障害となる。建設から1年以内に発電が開始できる化石燃料の発電所に対し、再生可能エネルギーの発電所については最長7年はかかるとされる。さらに、地熱発電所や水力発電所に関していえば、クリアしなければならない法律が複数存在する。2008年に入り再生可能エネルギーを促進する法律が導入されてはいるが、さらに導入を推し進めるための仕組みが求められている。