ミンダナオ開発局(以下:MinDA)書記官長Emmanuel Piñol氏は、大統領秘書官長Salvador Medialdea氏に対し、1985年の大統領令「熟したココナッツの輸出禁止令」の廃止を検討するよう提案した。
Piñol氏は自身のFacebookの投稿で、世界市場ではコプラ(ココナッツを乾燥させたもの。食品への添加物として使用され、食用・工業用油としても多用される)価格の大幅な下落が起きているが、若いココナッツの実と、殻を取り除いた熟したココナッツの需要は世界的に増加傾向にあると説明した。フィリピンはココナッツ世界最大の輸出国であり、世界第二位のココナッツ生産量を誇っている。
また同氏は、中国海南省の市場では、インド、タイ、ベトナムから輸入された成熟したココナッツの取引が行われていると述べた。輸入業者は一般的に、熟したココナッツをジュース、ミルク、パウダー、ヤシ殻練炭などの高付加価値製品に加工し、販売する。農業省は輸出禁止令が解除された場合、最初の輸出で1,500トンの熟したココナッツが輸出されるだろうと期待している。
フィリピン統計庁のデータでは、2018年の第4四半期に約400万トンのココナッツの生産が確認されている。これは2017年の同時期の393万トンから2.7%増加していることを示している。さらに、その内12.8%はダバオ地方で生産されたものだ。フィリピンココナッツ庁(PCA)ダバオ規制長官Arnel Cabillan氏は、熟したココナッツの輸出解禁で、ココナッツ農家は一時的に収入を増やし、現在のコプラ価格の下落に耐えることができるかもしれないと語った。
またCabillan氏は、需要と供給の観点から、ココナッツ業界内での適切な生産管理が重要であると強調した。仮にココナッツが輸出過多に傾けば、輸入業者は購入価格を下げる可能性があるからだ。
輸出が解禁された場合、ココナッツ業界に大きな利益をもたらす可能性がある。ココナッツ農家にとっても収入を増やす機会となるだろう。ただし、予想外の事態が起きる可能性も十分にあり、輸出解禁は慎重に検討される必要がありそうだ。