ダバオを拠点に活動する環境団体は、8月20・27日、9月3・10日の4回にわたり、ダバオ市の川沿いの清掃活動をおこなった。そこで回収されたごみの数や種類を分析したところ、ダバオ市やフィリピンの環境に関する課題が見えてきたようだ。再生できないプラスチックの使用を禁じているダバオ市がさらに環境にやさしい街になっていくためには、何が必要なのだろうか。
4回おこなわれた清掃活動で回収されたごみの数は「3,704個」にもおよぶ。9月23日木曜日、この活動をおこなった環境団体Idis(Interfacing Development Interventions for Sustainability)は、プレスリリースにて、その詳細を公表した。これによると、食べ物の袋、プラスチック袋、ペットボトル、空き瓶、洗面用具、におい袋、医療ごみ、その他家庭ごみがバランガイTawan-TawanおよびCarmenを流れるPanigan川、バランガイGumalangを流れるLower Tamugan川、そしてバランガイSan Rafaelを流れるダバオ川で見つかったという。
これらのごみを分析したところ、自然分解できないごみをたくさん拾ったことが分かった。食べ物の袋(ジャンクフード、ビスケットなどの袋)が1,518個(全体の41%)、プラスチック袋が553個(全体の15%)、洗剤やせっけん、シャンプーのごみが475個(全体の13%)、ペットボトルやプラスチック製カップなどが402個(全体の11%)となった。これに加え、マスクも183枚、布切れや空き瓶、空き缶などの家庭ごみも回収されたことが公表された。
そして、これらのごみがどこの企業の製品のものなのか分析すると、あるパターンが見えてきたという。トップ10にランキングしている企業は、どれも国内の大手企業なのである。「Oishi」のブランド名で知られるLiwaywayホールディングス会社が第一位で、日本でも洗剤で有名なP&Gが第二位、スナック菓子などが有名なPrifood Corporationが第三位となっている。ほかにはUnilever, Coca-Cola, JBC Food Corp., Nestle, Republic Biscuit, WL Food Productsなどの会社がランクインしている。
環境団体Idisは、これら大手企業の製品から出たごみが川を汚しているのだと主張した。そして、これらの企業も再利用や詰め替えができるような製品を作り、再生できないプラスチックに頼らない社会モデルを地域社会規模で主流にしていくべきだと指摘した。
ダバオ市は、再生できないプラスチックの使用禁止、および水源付近の川で遊ぶことを禁じる条例を出している。自然に優しいダバオ市になるため、その一歩を踏み出しているのだ。そのためには、市民の協力はもちろんだが、企業の在り方も議論の対象とすべきであろう。