最近、よく耳にするダバオ市のごみ処理問題。11.75ヘクタールの広さを有するCarmenのごみ処理場は、既にその埋め立てられる限界を超えた量が積み重なっている状態だ。しかし、何も手を打ってきてないわけではない。さらに、行政の外ではこの問題に取り組む企業も存在する。今回はダバオのごみ問題を深く探っていこう。
最初のアクションが見られたのは、2017年のことだった。ダバオ市長のサラ・ドゥテルテ=カルピオ氏は訪日すると、福岡県北九州市にあるごみ発電所を見学したのだった。現在、ダバオ市は北九州市と環境姉妹都市となっている。この発電所建設に向けた動きが見られたものの、予算が変わってしまったことや、環境団体の主張などにより計画は立ち往生している状態だ。
当初、Tugbok地区のBiao Escuelaにごみ発電所を建設する予定だった。しかし、市内環境団体はごみ発電所の建設に反対しており、環境や周辺住民の健康に悪影響があると主張している。団体の主張によると、ごみの燃焼時にダイオキシンとして知られる有毒物質が発生し、発がんなどが懸念されるという。また、ダイオキシンが池に落ちれば、そこに住む魚にも悪影響があると主張している。
この計画が進まぬ間も、ごみ処理場には依然としてごみが積み重なっている。このままいけば、2023年にはCarmenにあるごみ処理は満杯になって使えなくなってしまう。
この問題に対処するには、市民一人ひとりの行動が鍵となっている。そして、市内の企業もごみ処理問題に一役買おうと、それぞれ独自の事業を展開している。The Davao Thermo Biotech Corp.は、細菌を使ってごみを処理し、コンポストを作っている企業だ。同社はYellow Drum Projectを開始した。黄色いごみ箱を契約者に貸出し、その中に細菌が分解できるごみを集めてもらう。そして、最終的には集まったごみを施設で分解していく。同社の経営最高責任者であるBo Puentespina, Jr.博士は、「我々は有毒/有毒ではない細菌分解ができるごみを集めて、高温で処理する方法を使ってこのごみを堆肥にしています。そして、かなり効き目のある肥料が完成するのです」と語った。この手法は日本に特許があり、これを日本の外で許可されているのはフィリピンの中では同社だけだという。
また、再生できないプラスチックから新たな製品を作っている企業もある。Winder Recycling Companyはこれらのプラスチックからテーブル、ベンチ、学校用の椅子、ポットなどを作成している。原料となるプラスチックは、中古品販売店でも引き取られなかったものだ。どれもリサイクルされることは稀で、海に捨てられてしまうものもある。製品にするプロセスとしては、まず集まったものを粉々に砕き、洗浄し、乾燥させる。そして、含水率14%を保った状態のまま融解機に入れられると、溶けた材料はそれぞれの型に流され、テーブルやベンチなどに姿を変える。
どちらの企業もダバオ市のごみ問題に貢献している。これらの企業の製品を購入したり、利用したりすることも、環境にやさしい取り組みと言えるだろう。