コロナ禍に入ってから、フィリピン全体で対面授業の再開には依然として至っていない。9月20日、ダバオ市長のサラ・ドゥテルテ=カルピオ氏は、「ダバオ市の代替学習システムに関する部署」を設けることを明らかにした。1年半もの間学びが止まっている現状に歯止めをかけることがねらいとなる。
この部署は、市長令46「ダバオ市の代替学習システム創立のための市長令。その機能と目的を定義するもの」の発出をもって創立がきまった。この部署は、基礎教育を受けることができていない子どもや若者、学校に継続して出席できない結果中退を余儀なくされる人たちへの対応をおこなうための活動をおこなうこととなる。この市長令にて、サラ市長は、「代替学習システムおよび技能訓練教育への対応をおこなうため、この部署の創立が必要なのです」と語った。
フィリピンではコロナ禍に入ってから対面授業の再開には至っておらず、長らく続いた休校の後、現在はオンライン授業や教材を介した授業がおこなわれている。しかしながら、このことが真の学習保障となっていたのだろうか?実際、フィリピンの法律にも日本同様、「すべての段階において質の高い教育を受ける権利が全国民にあることを保障し、促さなければならない」、「これの実現のため、すべての子どもに初等教育では無償義務教育を、高等教育では無償教育を提供する」との文言が見られる。サラ市長は、コロナ禍に入ってからこれらの目的が達成できていないことを踏まえ、代替学習システムを担当する部署を創立したものと思われる。
同部署は、市内で代替学習システムを開始するために計画や方針を作っていく。短期~長期計画の作成、監視および評価、学校に行っていない若者への働きかけなど、まずはその準備に取り組んでいく。また、必要なものの配分や適切な資金を確保することもおこなうため、関係するすべての会議に参加すること、学校に行っていない若者の追跡調査をバランガイごとに実施することもおこなう。さらに、これらのプログラムをおこなう施設としての役割も担うことになる。
計画が練られてくれば、どのようなプログラムをおこなうかがさらに具体的になってくるだろう。代替学習システムがどのようなものになるか、続報を待ちたい。