ダバオ市では新型コロナウイルス(Covid-19)の感染拡大が5月から進んでおり、各医療機関もその対応を迫られている状況だ。その中でもICU病床を有する南フィリピン医療センター(SPMC)は、既にICU病床数を35床から77床に増やして対応している。また、市内の病院が「協力」して医療体制の確保に取り組んでいる様子も見られる。
SPMCのRichardo Audan院長は、5月31日のオンライン記者会見にて、一般病床を切り替える形でICU病床の数を増やしたと発表した。それでもなお、5月30日現在、77床のうち76床が使用中となっており、病床がひっ迫した状態には変わりない。また、一般病床も312床のうち289床が埋まった状態となっており、病床使用率は92.6%である。SPMCの病床が埋まりだしたのは5月21日からのことで、5月3日に80%を、その後一時落ち着いたものの5月17日には再び70%を超えていた。
Audan院長によると、同病院では救急治療室(ER)の使用率が130~140%になることがここ数ヶ月続いているという。そのため、同病院は追加の救急治療室を設けて対応をしている。Audan院長は、「ロビーや外来のための部屋を使って対応しているところです」とコメントした。また、有料病床の担当者をCovid-19対応の追加病床に当てているため、人手については問題ないとコメントしている。
また、Covid-19以外の患者の対応も課題となっている。SPMCでも135床のうち既に91床が埋まっている状態だ。そのため、市内の私立病院であるDavao Doctors Hospital (DDH)が虫垂切除や甲状腺治療などの患者を受け入れているという。Audan院長は、同様の支援の手を他の私立病院にも求めているところだ。その交換条件として、Covid-19病床を用意してくれた場合は、人工呼吸装置10台を貸出して支援することを表明している。また、Covid-19病床を拡大していくのに備えて人員をさらに確保したいと考えているが、どのポジションにも応募する人が少ないと述べた。
Covid-19の対応をすべて南フィリピン医療センターに委ねるのは、とても過酷なことだ。病院がかなりひっ迫した状況なのが、院長のコメントからも伺える。市内の私立病院と協力し、この感染の山を乗り切ることができればと思う。