ダバオ地方のドリアンが、今年の収穫期に国内外に出荷される計画が進んでいる。ダバオ産業組合ドリアン協議会(Davao Industry Association of Durian Council:以下、DIADC)の会長ネイル・ベルビズ氏によると、同会がパートナー提携をしている個人の貨物業者の支援を得て、外国や首都マニラへの輸出を計画しているという。ダバオ市の名産品としても名高いドリアンの輸出に、期待が高まる。
先日紹介したカカオ同様に、ドリアンもまたダバオが主な産地になっている農産物である。これもまた、ダバオ地方の「気候」が影響している。台風があまり来ないこと、雨季・乾季が存在せず、一年を通して気温も安定した気候であることは、ドリアン栽培に欠かせない条件である。さらに、ダバオ地方の「土壌」も大切な要素である。火山質の栄養豊かな土壌もまた、ダバオ地方でドリアンが育ちやすい条件につながっている。
この取り組みの目的は、農家の収入向上である。農家と加工業者および輸出業者をつなぎ、ドリアンの輸出を強化する必要があるという。ベルジル氏は「まずは、ダバオ市の農家を支援していきたい。マーケットの販売だけでは、ドリアン価格の下降に対応できず、農家も経営を維持することが難しくなる」と語っている。
ドリアンの価格が下降傾向にあるのには、主に二つの理由が考えられている。一つは、供給量が増えることである。九月にはドリアンの収穫期に入り、その後十分な生産が見込まれる。段々と供給量ばかりが増えると、それに反比例するように価格は下がっていくことが懸念されている。
もう一つは、新型コロナウイルスの感染対策として、マーケットが制限されていることである。先日のカダヤワン祭は、記憶に新しいだろう。例年であれば、祭り期間中は果物の販売量もかなり伸びるが、今年は出店することができなかった。新型コロナウイルスの自粛期間中も、ドリアンは例年通りの量が生産されている。このような消費の伸び悩みも、大きな懸念材料になっている。
DIADCは、ドリアンを輸出するために政府が支援してくれていることに感謝した。しかしながら、他にも輸入してくれる相手を必要としているのが現状である。さらに同会長のベルジル氏は、農家も、肥料をはじめとした投資にかなりの金額がかかっていることに言及している。様々な問題を抱えてはいるものの、同氏はドリアン市場がさらに盛り上がるために、農業がさらに専門化することを期待していると述べた。
「果物の王様」と呼ばれるドリアン。ダバオのドリアンが輸出することになれば、ダバオの農業が、さらに活気づくことが期待される。今後がとても楽しみである。