ABS-CBNダバオ局の関係者、および各界の有名人は、公共放送の31年におよぶ歴史に幕が閉じたことに悲しみの気持ちを表した。ABS-CBNは以前伝えられていたように、25年間に及んだ議会承認の放送権が更新されなかった。そして、8月31日をもって、自社のテレビ、ラジオ、その他デジタルサービスを永久に休止することになってしまった。
ダバオ局を含む12の地方放送については、8月28日が最後の放送になった。休止の影響を受ける番組には、「おはようミンダナオ(Maayong Buntag Mindanao;MBM)」、「 ミンダナオ南部パトロールTV(TV Patrol Southern Mindanao; SM)」などの有名番組が挙げられる。公共放送打ち切り後は、テレビおよびラジオの番組をFacebookページおよびABS-CBNホームページで放送するという。しかし、放送権の否認により、地方局の全職員がリストラの対象になってしまった。
ABS-CBNダバオ局長のフランシス・マグバヌア氏は、同局はダバオ地方だけでなくミンダナオ全体にとって、最も長い歴史があり、最も信頼があったと語っている。1989年1月16日、「ミンダナオ南部パトロールTV(以前は、TVパトロールダバオもしくはTVパトロールミンダナオ)」の放送が開始され、初めての、そして最も歴史の長いミンダナオのニュース番組となった。そして、1993年9月6日、「おはようミンダナオ」が放送を開始し、地方の朝の番組として長く続いてきた。同番組は、今年で27周年を迎える予定であった。 マグバヌア氏は、公共放送が終わった後も、それらの番組に協力していくと語っている。同氏は、「番組を短縮する可能性も検討しているが、その準備はできていない。私たちは現在も、市民の皆様に情報を提供していくチャンスが与えられることを切に願っている。今まで見てくれていた視聴者の皆様に、とても感謝している」と語っている。
フィリピン報道国家連合(NUJP)は、署名活動を開始している。これは、自発性および国民投票運動の法律の下で行われるもので、市民の自発性をもとに、「市民による放送権」のネットワークを手に入れる目的で行われているものである。この活動では、投票権のある国民の10%から署名を集めることで、ABS-CBNに対して放送権を獲得させることを目的としている。
有名番組が公共放送で見ることができなくなるのはとても寂しいことではあるが、その中でもできることを探す人たちがいる。新型コロナウイルスの驚異の中、悲しいことも多いが、諦めるのではなく、何ができるかを考え行動する人々がフィリピンにはとても多い。私は、この国の人々に「希望」を感じて止まない。