【Business】日系企業にチャンス到来!小売業の外資規制が大幅緩和か?

先月2月22日、World Buisness紙は、国家経済開発庁(NEDA)のエルネスト・ペルニア長官が外資規制(外資規制分野を定めた外国投資ネガティブリスト[FINL])を大幅に緩和するための修正案に署名したと報じた。これによって、小売分野に関しても、外資企業が参入する場合の払込資本金の最低金額が、現行の250万ドル(約2億8500万円)から、20万ドル(約2150万円)に引き下げられる見通しだ。

また昨年11月21日付で発布された大統領通達2017年第16号では、下記8分野において外資規制緩和を目指すとしている。

  1. 海外向けを含む民間の人材紹介
  2. 外国人の参加が公共の利益となる特定分野の専門職
  3. 国内資金を使う公共施設建設・改修の契約
  4. 送配電、上下水道システムなど公益事業を除く公共サービス
  5. 小売りを除くコメとトウモロコシの栽培、生産、加工、取引
  6. 高等教育機関の教師
  7. 小売業
  8. 国内市場向け事業

小売業に関して言えば、フィリピンではこれまで払込資本金額で250万米ドル以上を出資することによってのみ、外国資本100%での運営が可能であった。しかし、上記の条件でネガティブリストが変更された場合は20万ドルで外資100%経営が可能になる可能性がある。

そこで今回はフィリピン国内でフランチャイズ展開を行っている有名小売業者を中心に、フランチャイズ費用や初期費用やフランチャイズ・パッケージ内容などに触れ、フィリピン小売業への進出の参考資料となることを目的として本稿をまとめた。

分野としては小売フランチャイズの代表であるドラッグストアとコンビニ、また店舗数の多い送金サービスなどを取り上げた。最もフランチャイズ数が多いと思われる飲食業に関しては、次回以降の掲載としたい。

ドラッグストアのフランチャイズ

ジェネリクス・ファーマシー

初期費用
小売店フランチャイズ費: 60万~80万ペソ
平均回収期間:2~3年
契約更新:3年毎

フランチャイズ・パッケージに含まれるもの(一部)
各種トレーニング・教育(販売員への3ヶ月トレーニングを含む)
立地条件査定、マニュアル
マーケティング、オペレーションサポート、コンサルティング

ジェネリカ・ドラッグストア

ジェネリカという名前ではあるが、上記のジェネリック・ファーマシーとは無関係のフィリピン系小売店フランチャイズ。2003年に首都マニラのパラニャケ市で1店舗目をオープン。その後10年で、国内350店舗まで拡大している。

フランチャイズ費は店舗のサイズによって異なっている。

フランチャイズ・パッケージ
スタンダード・パッケージ : 15万ペソ
サテライト・パッケージ :5万ペソ
スモールタウン・パッケージ: 5万ペソ
ツイン店舗パッケージ :5万ペソ
薬局パッケージ :10万ペソ
ミニタウンパッケージ: 3万ペソ

平均回収期間:1.5~2年(立地条件による)
フランチャイズ費用総額:65万~130万ペソ(建設費は除く)

フランチャイズ・パッケージに含まれるもの(一部)
店舗備品、初期商品、コンピューターシステム、POSシステムなど

送金・支払い代行サービス

バヤッド・センター(Bayad Center)

バヤッド(Bayad)とはフィリピン語で『支払い』の意。バヤッド・センターはフィリピン初の支払い代行サービスで、もともとは、コーポレート・インフォーメーション・ソリューションズ社の一部であったが、支払部門だけ独立し、2007年からフランチャイズ展開を開始。現在はマニラ・エレクトリック社が所有している。送金や、電気・水道、保険、インターネットなど各種支払いを代行している。フランチャイジーは、請求書1枚に対して、5ペソ~7.5ペソの手数料を受け取る仕組み。

初期費用
小売店フランチャイズ費: 350,000万ペソ(税抜き)/5年間
設備費: 約12万ペソ
改装費: 約15万ペソ
キャッシュボンド: 6万ペソ
平均回収期間:2年
契約更新:5年

エクスプレス・ペイ(ExpressPay)

エクスプレス・ペイは、請求書支払い代行、国内外送金、Eロード、旅行サービス、宅配、オンラインサービスなど多様なサービスを展開しいる。同社全てワンストップ・ソリューションで行えるという強みを活かしてフィイピン国内に1,000店舗以上展開している。

フランチャイズ費
15.4万ペソ 3年
21万ペソ 5年
30.8万ペソ 期限なし

フランチャイズ・パッケージに含まれるもの
店舗のセットアップ(建設費は含まれない)
トレーニング
ユーザーアカウント
書式全て
マーケティングサポート
ヘルプデスク
フランチャイズの範囲管轄保証  など

MLクワルタ・パダラ・エクスプレス (M Lhuillier)

1952年オープンの老舗で、既に2500店舗以上となっている。送金サービスのみならず、不動産担保融資、保険パッケージ、換金などを行う。当社はフランチャイズ費という形ではオファーしていないとしているが、初期投資として9.9万ペソを支払うこととなっている。会社ウェブサイトから登録し、各種手続きの後、承認されれば事業を開始できる。形としてはフランチャイズと同様である。

初期投資パッケージに含まれるもの
ML Walletというシステムに2.5万ペソロードされる
タブレット
業務システム
Wifiプリンター
マーケティング資料

コンビニエンスストア

セブンイレブン(スタンダード・パッケージ)

フィリピンに初めてセブンイレブンが進出したのは1982年のこと。その後1998年にフランチャイズ展開を開始。2016年でのデータでは、店舗数1,741店舗中(※2016年12月1995店舗/日本貿易振興機構調べ)、フランチャイズが985店舗で残りが親会社の所有となっている。

パッケージには、トレーニング、マーケティング、運用サポート、設備メンテなどが含まれている。これは他のコンビニチェーンよりもかなり定価格で手厚い内容と言える。また別途パッケージ内容は異なるが、フランチャイズ費が半額(30万ペソ)のディスカウントプランも存在する。

初期費用の内訳例
フランチャイズ費: 60万ペソ
店舗備品: 17万ペソ
商品: 80万ペソ
建設費: 約200万ペソ
+リース契約の内容による前払い金など+消費税12%
10店舗前後の初期投資平均コスト:3.5~5百万ペソ
10店舗前後の平均回収期間:3.5~4年間

ファミリーマート

日本発のコンビニチェーンであるファミリーマートは1981年創業。フィリピンのファミリーマーとは日本の親会社である株式会社ファミリーマート、伊藤忠、フィリピン財閥系のアヤラランドなどによる共同ベンチャー企業である。

フィリピン国内では2013年に1店舗目が首都マニラ・マカティ市に開店。日本貿易振興機構(以下ジェトロ)の調査によると、2016年度末ではファミリーマート店舗数はフィリピン国内で99店舗に拡大している。

また2018年度中に7~800店舗まで拡大する計画である。前述のセブンイレブンより初期投資額のレンジが高いが、こちらには売上・利益に応じた成功報酬なども含まれているので、簡単には比較できない。

初期費用
初期費用総額:400~800万ペソ(立地条件などによる)
初期商品
店舗備品・設備など
平均回収期間:3.5~4年間

ミニストップ

ミニストップはイオングループ系のコンビニエンスストアでこちらも日本発。2016年11月のデータによると国内外に5211店を展開している。内訳は国内2241店・国外2770店と国外のほうが多い。フィリピン国内では499店舗(2016年12月ジェトロ調べ)がオープンしており、フランチャイジーには、トレーニング、手厚いマーケティング、オペレーションサポートを行うとされる。立地条件などに関するコンサルティングも行っている。

初期費用
フランチャイズ費: 60万ペソ
初期商品
店舗備品・設備など
フランチャイズ費用総額:300万ペソ~
平均回収期間:2~3年

その他

Mr.クイッキー(Mr. Quickie)

Mr.クイッキーは1981年に靴とカバンの修理店として創業し、その他では鍵・錠の作製や染めものなども行っている。現在ではルゾン地域に160店舗、その他が20店舗程度進出している。フランチャイジーには、修理工・店員の配置、トレーニング、開業時マーケティングサポートが提供される。

初期費用
投資コスト:125万ペソ(税金込み)
フランチャイズ費;28万ペソ
キャッシュボンド: P2.5万ペソ
設備費:94.5万ペソ

まとめ

今回は飲食業とガソリンスタンド業界を除くフランチャイズを中心に紹介したが、フランチャイズ費自体が思ったよりも低めであるという印象になったのではないだろうか。自らがフラアンチャイザーとしてフィリピン市場で展開をすることは勿論、フランチャイジーとしてビジネス参入することも検討できそうである。

外国資本の規制がどの範囲まで残るのかまだ正確には定かではないが、各サービスの初期投資費のイメージだけでも掴んで頂き、フィリピンでのビジネス展開の参考としていただければ幸いである。次回以降では飲食業界、ガソリンスタンド業界のフランチャイズ情報を紹介したい。

 

筆者プロフィール
三宅 一道

クリエイティブコネクションズ&コモンズ株式会社  代表取締役CEO/Founder
株式会社ピスタシア Co-Founder

20代半ばまでギタリストとしてバンド活動を続けていたが、バンド解散後、「海外で生きるって何となくイケているよね」という程度の軽い考えで、2001年にフィリピン・ダバオ市に移住。

ダバオでは周囲の素晴らしい人々の親切により、市内の日本語ボランテイアに関わるようになり、そのまま日本語教師としての道を歩み始める。その後は途中調子に乗りすぎて首になったりもしながら、インターナショナルスクールや大学の日本語教育に10年間携わる。後半5年間はミンダナオ国際大学の日本語センター長として、日本語教育システムの改善を行うとともに、教材作成、スピーチ指導(5年連続フィリピン弁論大会優勝)、日本語ラジオ番組の制作、音楽を使った日本語教育など多岐に渡る日本語教育を実践。

教え子である日本語人材に雇用を提供するため、2012年にパートナーの長谷川と共にCreative Connections & Commons Inc. を立ち上げる。