【Business】2018年にチャンスのありそうなビジネス

2016年のフィリピン全国の新規ビジネス登録数は294,283件、2017年は9月末までのデータですでに402,844件であった。(参考:Philippine Business Registry)一方、国内におけるビジネス投資承認額は2016年度及び17年度の第1四半期比で21.8%増加しており(国家統計局調べ)、件数、額面とも新規ビジネスが増加していることが分かる。

新規ビジネス登録数にはもちろん、新しいビジネスモデルだけでなく、既存のビジネスの横展開も含まれるが、このコラムでは主に比較的新しいビジネス、またはフィリピンで芽が出始めていると考えられるものについて着目したい。ここでは主に今年投稿された現地人や欧米系のブログ、コラムなどにおいて、現在フィリピンで可能性があると論じられている新規ビジネスを紹介する。

今回はその中でも日本人が比較的参入しやすいのではないかと思われるものを独自の視点でまとめてみた。前編となる本稿ではオフィス関連ビジネスと、教育関連ビジネスに着目した。

目次
オフィス関連ビジネス
教育系サービス

オフィス関連ビジネス

(1)コワーキングスペース

日本でも多様性のある働き方が注目され、数が増えているコワーキングスペース。現在日本には400箇所程度あると言われており、フィリピンでもニーズが急騰中だ。フィリピンの場合は主にスタートアップ企業の利用、またオンラインで仕事をするフリーランサーの増加が背景にあるという。

欧米企業は、BPO系バーチャルアシスタント、プログラマー、デザイナー、ライターなど様々なフリーランス人材をオンラインで雇用している。彼らの主な仕事場は自宅や喫茶店であったが、コワーキングスペースへ入ることで、場所の確保、ビジネスチャンスの増加、安定したネット環境などのメリットがある。

今年9月20日の大手テレビ局ABS-CBSのニュース報道によると、現在フィリピン人フリーランサーの数は爆発的に増えており、アメリカ、インドに次いで世界第三位。インターネット利用者は4400万人(人口の42%)である。世界的にマーケットをもつフリーランサー用のウェブプラットフォームFreelancer.comのCEOマット・バリー氏は、現在90万人のフィリピン人が同ウェブサイトを利用していると述べている。彼らの何割かがターゲット層となりうる。

(2)オフィスマッサージ

フィリピンの大都市ではマッサージ市場は既に飽和状態だが、企業向けのサービスならば話は別だ。昨今オーストラリアではトレンドになっているのがオフィスマッサージサービス。オフィスの一角にマッサージスペースを設置し、マッサージャーを派遣して、オフィスで施術する。

主なランニングコストは人件費のみなので、人件費が安いフィリピンでは可能性があるサービスである。マッサージベッドや、チェアはリースで貸し出す。最近では日本でも、PC作業による身体的疲労の軽減、集中力・モチベーションUP、人材採用時のアピール材料として利用する企業が増えてきた。

日本での料金は1時間の相場が5,000円~10,000円だが、フィリピンの場合は人件費コストは5~10分の1。その分、人数と範囲を拡大しやすい。ただし首都圏では渋滞が深刻な問題となっているので移動が課題になりそうではある。

(3)ヘルシーベンディングマシーン

ベンディングマシーンとはつまり自動販売機のこと。ヘルシーベンディングマシーンは、健康食品、健康飲料などを取り揃えた自動販売機ビジネス。屋外に設置するのではなく、オフィスビルの一角や、オフィススペースに提供するモデルで、アメリカを中心に急成長している。

健康食品やサプリメントはフィリピンでも需要が高まっているプロダクトであり、経済が伸びており、オフィスも増えている現在、主に大都市のオフィス街などではチャンスがあるかもしれない。アメリカ製のものであれば自動販売機自体の価格は1台が1000$~2500$だが、フランチャイズ権を買うならば最低でも10万$(1100万円程度)以上のコストがかかる。健康食品系は欧米企業が入ってきているため、文化はできている。

(4)企業向けフードデリバリー

先日10月13日にFacebookはフードデリバリー機能を発表。また1年前に開始された日本の「UberEats」登録配達者数は1年で5000人を超えたという。自転車・バイク便によるフードデリバリーサービスなら渋滞が問題となっているフィリピンの都市部でも十分機能する。ただしフードデリバリーは出前型でなくても成り立つ方法がある。

例えばドーナツを各種入れたボックスを企業に置いておき、売れ残ったものと、代金を回収する仕組みだ。朝届けて夕方回収するだけでいい。おやつの時間「ミリエンダ」の習慣があるフィリピンには持ってこいのビジネスモデルではなかろうか。

教育系サービス

(1)ソフトウェア教室

動画広告の台頭、画像ファイルの使用拡大を背景に、画像処理、動画処理系のソフトウェア人材の需要が高まっている。特に需要があるのが、Final Cut, QuickBooks, Photoshop、CADなどのソフトウェアである。例えばPhotoshopのフリーランスの場合はフィリピンでの最安レートで1時間3ドル程度。スキルの高い人でも10ドル未満で、コスト面からフリーランスの需要はどんどん伸びている。オンラインで学べる有料のサービスもあるが、人口ボーナスが続いているフィリピンでは、子供への教育場としてのオフラインの教室も可能性があるかもしれない。

(2)料理学校/料理教室

料理教室というくくりには大きくわけて2つの種類がある。①プロを目指し、資格取得や専門的な技術を学ぶ各種学校や専門学校と、②家庭料理のために技術や情報を取得するため、趣味、コミュニケーションのための料理教室の二つだ。ここでは後者の料理教室について取り上げたい。日本では料理学校の数が年々減少しているという。(全国料理学校加盟校数は2007年が456校、2014年で416校)。

日本では、近年女性が結婚しておいしい料理をつくることが当たり前とされる価値観が少なくなり、また、若い女性の興味を引くその他の稽古事が多くなったことから、料理教室の需要が減っている。しかしフィリピンでははまさに今がチャンスかもしれない。中間層で車が買える人が増えており、富裕層の幅が広くなってきていることから、外食産業はますますマーケットを拡大し、多様化している。

しかしフィリピンは外食だけでなく内食(家庭での食卓)も重視する文化でもある。現地ではパーティーで出される料理なども変化が感じられる。

(3)語学留学でない留学・オンラインレッスン

セブ島への留学生は年間40,000人を越えている。英語留学はすでにブームとなって久しいが、英語留学以外にもビジネスチャンスはある。言語学習では、学習中の言語をつかって別の何かを学ぶことで、高い学習効果が得られることが認められおり、短期の英語留学を繰り返している留学生に次のステップとして提示できるビジネスとも言える。

セブでは日本人が英語でプログラミングを学べるスクールというのも見かけるようになった。学術系でなくても、ダンスや音楽などエンターテイメントでも可能性はある。ヨガやエアロビなど、ダンスが得意なフィリピン人ならインストラクターには事欠かない。

(4)学用品、教育用品

フィリピンの子どもたちが使っている学用品を見ると、ノート、鉛筆など全てにおいて、クオリティーが感じられない。かと言って値段がそんなに安いわけではない。文具店に行っても、安くて良い品というのは見つからない。そもそも筆箱自体を持っている児童、学生が少ないように感じる。

私立の学校と提携して筆箱などこれまで全員が購入するものではなかった学用品の購入を義務付けさせるなどすると可能性は広がるだろう。あと25年は人口ボーナスが継続すると予想されているフィリピンはとにかく子供の数が多い。首都圏では変化が見られるものの、フィリピン全土としては、末広がりの人口ピラミッドの裾野はますます広がっている。そのため、教育産業全般に大きな可能性がある。

まとめ

現在のフィリピンの人口ピラミッドを見てみると1960年代の日本高度経済成長期のそれに酷似しており、当時一気に需要を伸ばした教育ビジネスモデルはフィリピンでのビジネス展開に大いに参考になるのではないかと思われる。例えば1954年に生徒数150名でスタートした「ヤマハ音楽教室」は10年後の1963年には生徒数が20万人に達していたという。

こういった成長期の日本のビジネスモデルとIT関連のイノベーション、そして地方と中央、ソサイエティーの貧困格差、このあたりが新規ビジネスのカギなのではなかろうか。

筆者プロフィール

三宅 一道

クリエイティブコネクションズ&コモンズ株式会社  代表取締役CEO/Founder

株式会社ピスタシア Co-Founder

20代半ばまでギタリストとしてバンド活動を続けていたが、バンド解散後、「海外で生きるって何となくイケているよね」という程度の軽い考えで、2001年にフィリピン・ダバオ市に移住。

ダバオでは周囲の素晴らしい人々の親切により、市内の日本語ボランテイアに関わるようになり、そのまま日本語教師としての道を歩み始める。その後は途中調子に乗りすぎて首になったりもしながら、インターナショナルスクールや大学の日本語教育に10年間携わる。後半5年間はミンダナオ国際大学の日本語センター長として、日本語教育システムの改善を行うとともに、教材作成、スピーチ指導(5年連続フィリピン弁論大会優勝)、日本語ラジオ番組の制作、音楽を使った日本語教育など多岐に渡る日本語教育を実践。

教え子である日本語人材に雇用を提供するため、2012年にパートナーの長谷川と共にCreative Connections & Commons Inc. を立ち上げる。