ドゥテルテ大統領は20日、テロリストによって包囲されているマラウィ市を訪れ、IS関連のテロリストを鎮圧する為に現地で2か月近く戦っているフィリピン軍の兵士たちを激励した。前回の訪問は、天候不良で中止となった為、今回が初めてのマラウィ訪問となった。
ドゥテルテ大統領は軍の兵士達の献身的な活動に感謝の意を表す為、様々な物資を差し入れし、現地で任務に就く兵士や警察官の子供達の為に500億ペソの信託基金準備することや最高の装備を配給することを約束、「国のために戦い、権利のために戦っているということを理解して欲しい」と話した。
今回訪問した軍のキャンプは戦闘地の外側に設置された場所であるが、訪問中の約4時間も、大統領の背後では銃声が響き、火が上がっていた。同行した軍司令官は、「危険を冒して訪問してくれたことに非常に感謝している。兵士たちの士気も上がった。」と述べた。
マラウィの戦闘が始まってから約2か月、ISに忠誠を誓うテロ組織マウテグループとアブサヤフは、依然諦めの姿勢を見せていないとのこと。軍は、現在、マラウィ市内にいるテロリストを約60人と考えている。当初の約500人から考えると相当規模が小さくなっているが、軍は、マラウィの奪還に苦労しており、戦闘地域に潜む敵側の狙撃兵や、ブービートラップの存在に悩まされているという。
5月23日の衝突発生以来、全体の死亡者は565人、主にテロリストである。避難民は40万人に上っている。軍の発表では、民間人の死亡者は39人としているが、紛争が続くと更に増える可能性が高いとのこと。 イスラム系過激派組織の出現は、ドゥテルテ政権が直面する最大の安全保障問題と考えられており、ミンダナオ島の戒厳令の延長に関しては、週末には議論が行われる予定である。
イスラム系過激派組織は、現在シリアとイラクにおいて大きな壁に直面していることから、地方の武装勢力を通じて東南アジアで足場を固め、拠点作りをしていくことが懸念されている。そのような事態になった場合、フィリピンだけの問題ではない。米国とオーストラリアはマラウイ周辺に監視艦を配備、中国は、この戦闘に使用する目的で、フィリピン軍に武器を提供している。