サラ・ドゥテルテ副大統領は、一部下院議員による自身への新たな弾劾申し立ての動きについて、「驚きはない」と語った。
2025年12月8日の声明で、サラ氏は、この動きのタイミングが従来の政治パターンを反映していると指摘し、「この憲法上の手続きを、2026年国家予算が可決される直前の交渉材料として再びちらつかせている」と述べた。
さらに、弾劾手続きを利用して「善政」という言葉の陰に隠れている者たちに対し、やめるよう促した。彼女は、自身の疑惑に対する申し立てに常に応じる用意があるとしながらも、「予算を巡る不正行為にねじ曲げられた手続きを黙って見過ごすわけにはいかない」と語った。
また、2024年2月にチズ・エスクデロ上院議員やトビー・ティアンコ下院議員らが、弾劾署名を予算配分と引き換えに求められていたことを明らかにしたことを振り返り、「こうした発言は申し立ての政治的性質を露呈させた」と指摘した。
こうした暴露にもかかわらず、サラ氏は、公的サービスではなく政治的操作のために数十億ペソが使われた疑いについて、いまだいかなる調査や審査も行われていないと指摘した。
新たな弾劾申し立ての準備
左派系政党バゴン・アリヤンサン・マカバヤン(以下Bayan)は、憲法で定められた1年間の再提起禁止期間が終了する2026年2月5日以降、再びドゥテルテ氏への弾劾申し立てを提出する準備を進めている。
Bayan議長のテディ・カシーニョ氏は、12月2日放送のニュース番組「24 Oras」で、追加の団体も参加する可能性があると述べた。
カシーニョ氏は、「2月に禁止期間が終了するのを見据えて準備している。前回の手続きは不完全で審理まで進まなかったため、再度弾劾申し立てを提出する可能性が高い」と語った。
さらに、最高裁が以前の弾劾手続きを違憲と判断した判決を精査しており、その判断を次の手続きに生かす方針であると述べた。
弾劾申し立ての経緯
サラ・ドゥテルテ副大統領に対しては、2024年12月以降、複数の弾劾申し立てが提出されている。内容は、汚職、秘密基金の不正使用、公的信頼の裏切り、その他高位犯罪の疑いなどである。
ある訴状では、サラ副大統領が教育長官在任中に秘密基金を不正使用したとされる他、司法手続きを経ない殺害(超法規的殺害)への関与や、フェルディナンド・マルコス大統領、ファーストレディのリザ・マルコス氏、元下院議長マーティン・ロムアルデス氏に向けた「殺せ」という発言が取り上げられている。
2025年2月までに、4件目の訴状は下院議員215名の支持を得て、弾劾条項が上院に提出された。
しかし、最高裁は2025年7月25日、訴状が1987年憲法第XI条第3項5号に規定された1年間の弾劾禁止規定に違反しているとして、弾劾条項を却下した。
これを受け、上院は2025年8月、賛成19票・反対4票・棄権1票で弾劾条項を保管する決議を可決した。





