
フィリピン各地の大学で今週、汚職に対する抗議活動が行われる中、高等教育委員会(以下CHED:Commission on Higher Education)は9月23日に声明を発表し、学生が説明責任を求めて声を上げることは決して封じられるべきではないと述べ、表現の自由を支持する姿勢を明らかにした。
「学生は、汚職に立ち向かう中で、沈黙を強いられたり、脅されたり、威嚇されたりしてはなりません」と強調し、高等教育機関に対し、抗議活動に参加する学生を保護し、標的とされる可能性のある学生には全面的な支援を行うよう要請した。
CHEDはまた、デモや集会への参加はあくまで学生の自由意志に基づくものであり、政府が学生に抗議を指示したという主張は事実ではないと説明した。
併せて、平和的な抗議を行う権利の重要性を認めつつ、学生たちに対しては偽情報への警戒を怠らないよう呼びかけた。
学生による抗議活動は、洪水対策事業に絡む汚職や公金の不正使用に対する、社会全体の広範な怒りの一環として行われている。
全国の大学で抗議の広がり
ルソン、ビサヤ、ミンダナオ各地の大学がこの運動に加わっており、汚職を「国民の信頼を裏切る行為」「地域社会への脅威」だと厳しく非難している。
セブでは、セブ学校間スポーツ連盟(Cesafi:Cebu Schools Athletic Foundation Inc.)に加盟する大学 — セブ大学、サン・カルロス大学、アテネオ・デ・セブ、ビサヤ大学、フィリピン大学セブ校、ドン・ボスコ工科大学、サン・ホセ・レコレトス大学、南フィリピン大学財団 — が連名で「抗議声明(Statement of Indignation)」を発表し、セブ・コロシアムで読み上げた。
またバギオ市では、フィリピン大学バギオ校の学生が講義をボイコットして集団退席し、全国のカトリック系学校を統括するフィリピン・カトリック教育協会(CEAP:Catholic Educational Association of the Philippines)も汚職を非難する声明を発表した。
ダバオ市の大学、説明責任を求める声を先導
ダバオ市では、アテネオ・デ・ダバオ大学(以下AdDU)が抗議運動の中心の一つとなり、9月23日、ロハス通りのフィンスター・ビル前で「ブルー・ムーブメント:説明責任を求める学術的講義ボイコット(Blue Movement Academic Walk Out for Accountability)」が実施された。
このデモには学生、教職員、大学スタッフら数百人が参加し、プラカードを掲げながら透明性と説明責任を求める声を上げた。
大学当局および教員組合はこの行動を公に支持し、教授らは「汚職に沈黙すれば、不処罰を助長することになる」と訴えた。
デモの様子は、大学の公式Facebookページでライブ配信され、その記録も残された。
フィリピン大学ミンダナオ校も抗議運動に参加
フィリピン大学(以下UP)ミンダナオ校も抗議運動に加わり、学生、教職員、スタッフがデモを実施。汚職に関与した公職者に説明責任を求めるよう、UPの伝統的な応援歌「UP応援歌」の歌詞をアレンジし、汚職に抗議する声を上げた。
この行動は学生団体が主導し、大学側も支持を表明。汚職は教育と若いフィリピン人の未来に直接影響を与える重大な問題であることを強く訴えた。
学術界に広がる抗議のうねり
全国各地で展開される抗議運動は、汚職に対する世論形成における大学の役割がいっそう深まっていることを示している。
AdDU、UPミンダナオ校、セブのCesafi加盟校など、各地の大学での抗議活動は、若者と学術界が単なる参加者ではなく、「良い統治」を求める運動の先頭に立っていることを鮮明に示している。
このような動きを受け、CHEDは、「学生の声は、ただ『聞かれる』だけでなく、『守られ』なければなりません。なぜなら、正義・透明性・汚職のないフィリピンを築くために、彼らの存在は不可欠だからです。」と述べ、学生の権利を守る立場を強調した。