前回、失敗しない人材採用をと題し、フィリピンで起業を検討される方々が、起業、つまり会社設立後、あるいは同時に実施する必要がある、「人材の採用」について、募集要項の作成から、掲載までの話を書きました。今回は、前回に引き続き、人材採用について、書類選考・筆記試験、面接等を書かせて頂きます。
日本とフィリピンのキャリア・仕事に対して考え方の違い
ところで、私自身、会社を設立後、しばらくの間は、採用面接を通じてフィリピン人のキャリア・仕事に対する考え方について非常に違和感を感じた経験がありました。具体的に言うと、
・業務は完全に契約ベース
・一つの会社に長くという考えはあまりない
・むしろ、期間が短くても多くの会社での経験を持っていることがキャリアだと考えている
・月収・年収という認識はなく、時給・日給・最低賃金という言う考えがスタンダード
一方、日本人の場合はどうでしょうか?
・契約第一主義ということよりも、信頼ベース
・一つの会社に長くという考え方(石の上にも三年)が主流
・多くの会社を転々としている人は問題があると思われがち
・時給・日給という考え方より、月収・年収・福利厚生という考え方がスタンダード
というのが、一般的な考え方ではないでしょうか?
以前採用面接を実施していた際に、応募者から給料について質問がありました。その内容は昼休み等の休憩時間は「with pay」つまり、支払いが発生するのかどうか、というものでした。皆さんは昼休み・休憩時間が自分の給与に含まれているかどうか考えたことはありますか。
一般的な会社員であれば、月額あるいは年額で給料額がある程度FIXされていると思うので、昼休みや休憩の時間は支払い込みであるのかどうかなんて、気にもしていないと思います。ただ、フィリピンでは時給・日給という言う考えがスタンダードですので、非常に短いスパンで物事を考えるんだなと思った記憶があります。
ドタキャンは当たり前という考えから始める
また、もうひとつ印象的だったのが、面接のアポイントメントについてです。日本の場合、応募していた会社から連絡があり、一度アポイントメントが成立した場合、かなりの高い確率で応募者はその日程・時間・場所に正確に訪れると思います。しかしながら、フィリピンの場合、書類選考で合格した応募者に連絡を入れ、普通に面接のアポイントメント取った場合、(事前にアポを入れていても)50%くらいの確率で当日のドタキャンがあります。
ドタキャンは防ぐべきなのか
ドタキャンがあまりに続いたことがあって、弊社ではドタキャン防止のために、前日(もしくは前々日)にアポ再確認という方法をHRチームが行い、ドタキャン率を減らし、マッチング率を上げる努力をしています。
これは企業によって考え方が異なる、つまり、ドタキャンする人は最初から問題外という考えか、優秀な人材を採用するためには、ドタキャンを防いで、マッチング率を上げたいと思うかで、企業のスタンスによると思いますので一概に良いか悪いかは言えません。
弊社では優秀な人材は企業の成長には不可欠であり、そのためにはなるべく多くの人と面接したいという考え方ですので、何とかして、マッチング率をあげるような方法を実施しています。
マッチング率を上げるために、弊社が行っている方法をいくつかご紹介します。
・応募者へのコンタクトは携帯メールやEmailのみならず、直接電話でも行う
・筆記試験・面接の日程を複数準備する
・前日、もしくは前々日に確認の電話を行う
・筆記・面接はなるべく午前中に行う
続いては、筆記試験についてですが、その前に、フィリピンの人材採用に関して、基本的なフローのおさらいをしておきます。
- 募集要項の作成
- 募集要項の掲載
- 書類選考・筆記試験
- 面接(複数回)
前回は、募集要項の作成と募集要項の掲載について、弊社の具体的なケースも交えてお伝えしました。今回は書類選考について、ご紹介します。
筆記試験
筆記試験は能力を見極める大切なプロセス
筆記試験については、職種によってかなり試験内容と配分が異なるかと思います。弊社のケースでいえば、アドミンなどの総務系スタッフについては、一般的な基礎能力を見る試験、翻訳者・校正者等の専門職であれば、その専門の筆記試験を実施しています。
一般的な話になってしまいますが、まずは、応募者のどの能力・知識を見極めたいのかということをハッキリとさせるところから始めてください。その部分がハッキリとしてくれば、自ずとどういう筆記試験を実施すればよいのか、アイディアが出てくるはずです。また当たり前ですが、応募者には同じ試験環境を準備してあげることも大切です。
余談ですが、弊社は専門職の筆記試験にノートパソコンを使用してもらっています。ノートPCはインターネットが繋がるような環境を整えていますが、使用可、不可は質問がない限り、応募者へ伝えていません。使用してはいけないルールもありません。実際の業務で必要となる、自分でリサーチをする力、わからなければ、質問をするコミュニケーション能力等を筆記試験以外にも見ています。
次回は、弊社が最も力を入れている面接についてのコラムを書く予定です。