燃料価格の高騰が続く中、ダバオ市およびフィリピン各地では無料の公共交通プログラムが継続されており、日々のコスト増に直面する通勤客の負担軽減が図られている。
現在、ダバオ市では国および地方自治体のプログラムに基づき、仕事や日常生活で公共交通を利用する市民向けに、主要ルートにおいて無料乗車サービスが提供されている。
国・地方自治体による多層的な支援
その一つが、運輸省(DOTr)による「ラブ・バス(Love Bus)」プログラムである。2025年に開始された同プログラムは、燃料価格高騰の影響を緩和するための広範な取り組みの一環として、ダバオ市でも継続されている。ササ―ロハス間やミンタル―マティナ間などの主要ルートに複数のバスを配備し、主に朝夕のラッシュアワーに運行している。
地方自治体レベルでは、ダバオ市政府が独自に「ダバオ市暫定バスサービス(通称:DCバス)」を運営している。ピーク時間帯に都市部の主要ルートを走行するこのバスは、既存の公共交通機関を補完し、特に通勤客の移動手段の確保を目的としている。
副大統領府の「リブレン・サカイ」も拡大
さらに国レベルでは、副大統領府(OVP)も無料乗車プログラム「リブレン・サカイ(Libreng Sakay)」を継続しており、マニラ首都圏、ダバオ、セブ、タクロバン、バコロドなどの主要都市にバスを配備している。
この「リブレン・サカイ」は、新型コロナウイルスのパンデミック下において、当時のレニ・ロブレド副大統領が、公共交通が制限されていた医療従事者やエッセンシャルワーカー向けに無料シャトルを導入したことに始まる。現在の政権下でもこの取り組みは継承され、対象範囲が拡大されている。
ダバオ市内の主な運行ルートは以下のとおりである。
- カリナン ~ ロハス通り
- カタルナン・グランデ ~ ロハス通り
- トリル ~ ロハス通り
運行時間は月曜日から土曜日までの二部制で、午前(5:00~9:00)および午後(17:00~21:00)となっている。
高まるインフレへの懸念
これらのプログラムが継続されている背景には、不安定な燃料価格がある。米国およびイスラエルによる対イラン軍事行動に起因する地政学的リスクや、世界的な供給不安により、今後数カ月は輸送コストの上昇とインフレ圧力がさらに強まると予測されている。
多くのフィリピン人にとって、交通費は避けることのできない切実な支出である。世論調査機関「パルス・アジア(Pulse Asia)」の最新調査によると、ミンダナオ島の住民の62%がインフレを「喫緊の課題」として挙げており、最大の懸念事項となっている。






