高等教育委員会(CHED:Commission on Higher Education)は2026年4月7日、第117号通達を発出し、経済状況や交通危機の悪化を受けて、高等教育機関における100%オンライン学習の導入を認める方針を示した。
一見すると利便性の高い措置に見えるが、深刻な社会経済的不平等に直面する数百万人の学生の現実を軽視しているとの批判も出ている。
教育運動団体「ライズ・フォー・エデュケーション(以下R4E:Rise For Education)」ダバオ支部のコーディネーター、アリ・カブレラ氏は、教育の質への影響に懸念を示した。カブレラ氏は、パンデミック期間中のオンライン学習が教育の質の低下や中退率の上昇を招いたと指摘し、対面での交流機会の減少が学生のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼしたと述べた。
また、R4Eマティナ支部のコーディネーター、ロジエル・サギン氏は、不平等とアクセスの問題を強調した。フィリピンでは多くの家庭が安定したインターネット環境や適切な学習端末を持っておらず、通信費の負担も学生にとって大きな障壁になっていると指摘した。
フィリピン統計局によると、2022年時点でインターネットを利用できる世帯は約49%にとどまっている。情報通信技術省(DICT)も、通信インフラの信頼性や地域格差といった課題を指摘しており、これらは継続的なオンライン学習の安定性を損なう要因となっている。
さらにサギン氏は、家庭環境が必ずしも学習に適しているとは限らないと述べた。自宅学習は集中を妨げられる場合が多く、対面授業では教室環境や教材などの学習資源が整っており、より良い学習環境が確保されると強調した。
この政策は、インターネット接続費や電気代、設備費といった負担を学生や家庭に転嫁するものだとして批判されている。また、私立大学の高額な授業料や公教育の予算不足といった構造的問題を放置したまま、国家の責任を軽視しているとの指摘もある。
カブレラ氏は、政府に対し経済や交通危機の根本原因への対応を求めた。教育予算の増額や私立学校の授業料凍結、石油価格の規制が必要だと主張し、さらに付加価値税の撤廃や国民への経済的支援の拡充を呼びかけている。






