【News】南フィリピン医療センター、腎臓・移植研究所を試験開設 — 腎臓病治療の新拠点に

SPMC

南フィリピン医療センター(以下SPMC)は、腎臓関連サービスの提供効率を高めることを目的に、「腎臓・移植研究所(Kidney and Transplant Institute)」を試験的に開設する。SPMC腎臓・移植研究所の責任者であるマリア・テレサ・バダン博士によると、研究所は2025年11月28日に開設され、SPMCにおける17番目の研究所となる予定である。

バダン博士は、研究所の開設により腎臓ケア専用の建物が整備され、提供される診療内容には、100床の血液透析、腹膜透析、腎移植、免疫学検査室、泌尿器科・腎臓学トレーニング、小児腎臓学、看護および透析トレーニングなどが含まれると説明した。

バダン博士によると、SPMCではすでにこれらの医療サービスを提供しているものの、現在は複数の場所に分散しているという。新設される研究所では、すべての診療が一箇所に集約される予定である。

2025年11月24日に、SMシティ・ダバオで開催された「カペハン・サ・ダバオ(Kapehan sa Dabaw)」の場で、バダン博士は「今後は一つのエリア、一つのセンター、1か所でサービスを受けられるようになります。もうSPMC内をあちこち移動する必要はなく、研究所に行けば、すべてが一目で分かるようになります。専用の手術室もあり、その手術室はすでに稼働しています」と述べた。

さらにバダン博士は、ミンダナオの患者がサービスを受けるためにマニラまで移動する必要がなくなるよう、同研究所を南部地域の国立腎臓・移植研究所として整備することを目指していると語った。

SPMC腎臓・移植研究所は、入院患者62人を受け入れられるほか、外来透析サービスでは24時間稼働する持続的腎代替療法(CRRT:Continuous Renal Replacement Therapy)機器を備え、ハイリスク患者3人に対応可能である。透析センターは、2026年3月の完全開設までこの体制で運営され、完全稼働後は100床の透析ベッドで1日あたり約300人の患者に対応できる見込みである。

現在、SPMCには透析ベッドが55床あり、1日あたり約150人の患者に対応可能である。バダン博士によると、新設される研究所の入院ベッドは腎臓疾患患者向けに62床のみである。しかし、慢性腎臓病患者の増加に伴い、今後もサービス需要は高まると見込まれている。

腎臓患者数と統計

SPMCでは、1日あたり約200人の腎臓患者を診ており、新設研究所では泌尿器科手術、腎移植、透析をより効率的に行えるという。

フィリピン国立腎臓・移植研究所(NKTI:National Kidney and Transplant Institute)によれば、2024年には約64,845人が透析を受け、2023年の53,296人から22%増加した。透析は永続的治療ではなく、腎移植への橋渡しであり、恐れる必要はないという。しかし、腎臓病死亡率は13%に上昇しており、多くの患者は他の基礎疾患を抱えている。

国内には38か所の移植センターがあり、11か所が公立病院、27か所が私立病院である。ドナー数は減少しており、2025年6月時点で移植を必要とする患者の全国待機リストは456人で、そのうち腎臓移植を待つ患者は437人である。

透析患者の男女比は男性56.34%、女性43.65%である。年齢分布は、60歳以上が40.82%、20〜59歳が57.44%、11〜19歳が0.62%、10歳以下が1.11%である。

小児の「慢性腎臓病(以下CKD:Chronic Kidney Disease)」は、2023年144例(9.3%)から2024年301例(12.1%)に増加した。55%が男児で、先天性腎尿路異常に関連しており、多くは後部尿道弁によるものである。年齢別では16〜18歳128人、11〜15歳120人、6〜10歳38人、5歳以下15人である。

生体腎移植では、1年生存率98%、5年生存率95%。ドナー腎移植では、1年生存率96%、5年生存率95%である。

腎臓病の主な原因

世界におけるCKDの主因は高血糖であり、次に高血圧である。長期にわたり腎血管や濾過単位を損傷する。また、長期のイブプロフェン、ナプロキセン、抗生物質、抗がん剤、リチウム使用も腎障害の原因となる。

生活習慣では喫煙、高ナトリウム食、肥満、過度な飲酒がリスクを高める。

健康的な生活習慣の推奨

バダン博士は、休暇シーズン前に健康チェックを受けるよう呼びかけた。「我々の最も重要な使命は予防です。透析が無料だからといって腎臓病の管理をやめてよいわけではないのです」と述べた。

塩分や糖分は適度であれば許容されるとし、1人分の適量を守ることを強調した。推奨される1日の塩分摂取量は1.2gだが、スナック菓子1パックだけで約2.5gの塩分を摂取してしまう。さらに、研究所で診る腎臓患者は若年化しているという。

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