ダバオ市議会議員のテムジン・オカンポ氏は、付近の養豚場からの排水が原因とみられるパニガン–タムガン流域の一部で確認された水の変色について懸念を示した。
環境・天然資源委員会の委員長を務めるオカンポ氏は、この流域が市の主要な飲料水源のひとつであり、最高レベルの保護を受けるべきだと強調した。汚染が進行すれば、市民の健康やダバオ市の長期的な水供給に深刻な影響を及ぼすおそれがあると警告している。
汚染の発生源
2025年10月21日、タムガン村は前日に発生した汚染を受け、住民に対し、入浴や洗濯など家庭用として川の水を使用しないよう勧告を出した。水は茶褐色から黒っぽく変色し、悪臭を放っていたとされ、その原因としてJMLロペス農場からの排水が疑われている。
その後、ボランティア団体「バンタイ・ブキッド(Bantay Bukid)」のメンバーが現場を調査し、タムガン村とグマラン村の2つのバランガイ(行政区)が影響を受けていることを確認した。チームは状況を記録し、水質サンプルを採取して分析を依頼。報告書は公共安全保安局(以下PSSO)および流域管理評議会(Watershed Management Council:以下WMC)に提出された。
オカンポ氏は、流域の監視体制をさらに強化し、環境許可の遵守状況を確認するとともに、保護区域付近で操業する大規模農場の廃棄物管理システムの見直しを求めた。
「汚染源が特定され次第、罰金や行政処分、必要に応じて訴訟の提起など、適切な法的措置を講じ、被害を受けた地域社会に正義をもたらすとともに、今後の違反を抑止する必要があります」と、オカンポ議員は10月28日の市議会本会議での特別演説で述べた。
またオカンポ氏は、環境天然資源省(DENR)、環境管理局(EMB)、WMC、ダバオ市環境天然資源局(CENRO)、および市民団体に対し、徹底した調査を実施し、責任者の厳正な処分を求めた。
「タムガン–パニガン川は、どんな犠牲を払ってでも守らなければなりません。清浄な水源を失えば、それはダバオ市の未来の一部を失うことを意味します」とオカンポ氏は訴えた。
ダバオ市議会議員ダニロ・ダヤンヒラン氏も環境保護の必要性に賛同し、川への被害を理由に、問題の養豚場の操業停止命令を求めた。
オカンポ氏は、自身の特別演説を第一読会として採択し、同委員会での検討に付すよう動議を提出した。
2021年にも同様の事例
オカンポ議員は、2021年6月にも環境団体「持続可能な開発施策連携協議会(IDIS:Interfacing Development Interventions for Sustainability)」が、タムガン住民から養豚場による動物排泄物の河川流出に関する苦情を受けていたと指摘した。
同年4月の調査では、一定の改善が確認されたものの、5月には再び悪臭を伴う排水の報告が寄せられていたという。
ダバオ市の主要な水源
パニガン–タムガン川は、ダバオ市最大の水源である。
ダバオ市水道局(DCWD)およびアポ・アグア社によると、市の現在の水供給の約78%はこの流域の表流水に依存している。
地下水だけでは将来的な需要をまかなえないとの警告を受け、同流域への依存が強まっているという。







