
2025年9月30日夜、セブ北部をマグニチュード6.9の強い地震が襲い、多くの家族が避難を余儀なくされ、インフラにも大きな被害が出た。
この地震により、多数の死者と数百人の負傷者が確認され、複数の自治体で広範囲にわたる被害が発生している。
これを受け、州議会は翌10月1日朝、緊急の特別オンライン会議を招集し、被災地域への救援・復旧・再建活動を迅速に進めるため、州全域に災害状態を宣言する決議を全会一致で可決した。
人的被害
2025年10月1日夜時点、州政府が発表した最新データによると、死者数は69人に増加し、負傷者は186人と報告されている。
これに先立ち、災害リスク軽減管理局(PDRRMO)の状況報告では、死者63人、負傷者293人とされていたことから、災害対策チームがさらに多くの地域に到達する中で、被害状況の集計が依然として続いていることがうかがえる。
死者はセブ北部に集中しており、ボゴ市で30人、サン・レミジオ町で22人、メデジリン町で10人、ソゴド町で1人の死亡が確認されている。
被災状況の概要
社会福祉開発省(以下DSWD)によると、今回の災害により27,375世帯、計110,408人が直接的な被害を受けたという。
家屋が倒壊するか安全性を失ったことで避難を余儀なくされた住民の多くは、現在、仮設の避難所に身を寄せている。
被害の規模
地震は公共インフラに深刻かつ広範囲な被害をもたらした。
公共事業道路省(以下DPWH)の暫定報告によれば、特に被害の大きかった7つの自治体において、道路と橋梁だけで推定被害額は20億ペソに上るという。
ただし当局は、この金額があくまで初期段階の試算であり、病院、学校、教会、政府施設など他の重要インフラに対する被害はまだ含まれていないと強調している。
また、ボゴ市およびサン・レミジオ、ダアンバンタヤン、メデジリン、タブエラン各町では、広範な停電と通信障害が発生しており、救助・支援活動に深刻な支障をきたしている。
現地からの報告によれば、地滑りや建物の倒壊も各地で多数発生しているという。
病院の被害と政府の対応
ボゴ市のセブ州立病院は甚大な被害を受け、多くの患者が慎重に避難させられ、他の地域や都市の機能している医療機関へ転送された。
政府の対応
災害事態宣言は、州政府が災害対策資金を即座に活用できるようにし、必需品の買い占めを防ぐための価格統制を実施するとともに、通常の官僚的手続きを省略して救援・復旧活動を迅速に進めることを可能にする、重要な法的措置である。
州議会の議員らは、セブ州議会ビルが安全点検中であったため、緊急オンライン会議を開催し、同宣言を全会一致で可決した。
地方自治体レベルでは、10月1日に40以上の市町で休校措置が取られ、学校施設の安全点検が実施された。
また国家機関も支援に動き出しており、DPWHのビンス・ディゾン長官は、病院の点検を最優先とし、修復作業の迅速な実施を職員に指示した。
対応と今後の見通し
DPWHのディゾン長官は、「まずは安全性を評価する必要があります。1〜2日以内に安全が確認されれば、すぐに修復作業に取りかかります。被災された方々が屋外で過ごしており、大変気の毒な状況だからです。評価も修復も迅速に進めていきます」と述べた。
さらに、DPWH第7地方事務所の責任者に対し、セブ州内のすべての利用可能な業者を召集し、大規模な修復・再建作業に協力させるよう指示を出した。
国家防衛省のギルバート・ギボ・テオドロ長官は、初動の空中および地上調査を踏まえ、被災者にとって最も緊急性の高いニーズは「食料・水・電力」であると明言した。
これに応じて、DSWDのレックス・ガッチャリアン長官と市民防衛庁(OCD)は、すでに食料パックなどの生活必需品の配布を開始している。
現時点で明らかでないこと
道路や橋梁の被害額は暫定で20億ペソと見積もられているが、地震による最終的な経済的損失の全容は未だ不明であり、今後さらに拡大する可能性が高い。
公共施設、民間住宅、商業施設などに関する包括的な被害評価は現在も進行中であり、通信インフラの復旧や倒壊した建物のがれき撤去が進むにつれて、死傷者数も変動する可能性がある。
また、電力や通信の完全復旧、地域全体の再建に向けた明確な長期的スケジュールも、現時点ではまだ策定されていない。
今後の対応
政府の最優先課題は、行方不明者の捜索と避難住民への基本的な生活支援である。
関係当局は引き続き被害の全体像把握に努める一方、住民に対しては強い余震の可能性を警告し、警戒を怠らないよう呼びかけている。
DSWDは今後、住居が損壊または全壊した被災者に対する金銭的支援の配布に向けた正式な評価を実施する予定である。
また、DPWHは病院など重要インフラの構造安全性が確認され次第、即時の修復作業を開始する方針を示している。