アグサンデルスル州サンフランシスコ町の国道近くに立つ樹齢300年のフィリピン・ローズウッド(Petersianthus quarilatus)の木は、現在危機に直面している。これは国内で最も背が高く、最も古い種類のものとされていたが、先週の地震で倒壊の危機に瀕し、それを恐れた住民たちが伐採を訴えている。
地元ではトーグと呼ばれているこの木の今後については、2023年3月14日、地元当局が、災害の際の近隣住民の安全を考慮して切り倒すべきかを話し合う会議を開催した。この会議の参加者のほとんどは、トーグの歴史的価値よりも、人々の生活を守ることに重きを置いている。
Sangguniang BayanメンバーのJay-Ar de Asis氏が議長を務めるこの委員会は、バランガイ(最小行政区)アレグリアの屋根付きコートで開かれ、将来の災害にあたってトーグが倒れるかもしれないという住民の懸念に耳を傾けた。また、バランガイキャプテンのBlandina Rufila氏は、先週の地震でトーグが倒れることを心配した近隣住民が眠れない夜を何晩も過ごしたと語った。
環境天然資源省(DENR)の地方支部が伐採許可を出した後、地元当局がこのトーグの伐採を決定する体制に入るのはこれで3回目だ。1度目は徹底的な調査のために伐採を見直し、2度目は地元の保護団体の猛反対により土壇場で伐採が先送りになっていた。
地元住民の暮らしと、その土地の「価値あるもの」の二者択一を迫られるのはフィリピンでも日本でも同様である。ダバオ市でも記念樹の伐採に関して環境団体が公共事業道路省に訴えかけたことがあった。こと災害の危機に直面した時、被害に遭うのは地元住民であるだけに、彼らに不利益が出ないような選択が求められるだろう。