2021年1月に中国政府と正式に調印された、ダバオ市-サマル島間にかけられる橋に関して、その日以来何も新しい情報は入っていない。調印がおこなわれた際には、2021年6月までには実際に工事が始まるという話もあったが、その6月も、もう半分を過ぎようとしている。サマル島アイランドガーデン市(Igacos)のAl David Uy市長は、この状況に関してコメントを出している。
6月14日、ダバオ市の災害ラジオに出演したUy市長は、DPWHに疑問を呈すと、なぜ橋の建設に遅れが出ているのかとコメントした。「フィリピン国公共事業道路省(DPWH)にお尋ねしたい。橋はどこでしょうか?私はほとんど死んだような状態だが、橋は見当たらないようです。また新型コロナウイルス(Covid-19)にかかってしまったら、ここにあなた方を呼びます。私たちに説明しなければなりません」と語った。そして、「Sadainさんにお伺いします。あなたの橋に関する計画とは何ですか?」と述べ、DPWH次官のUnified Project Management Office (UPMO)で働くEmil K. Sadain氏にメッセージを送った。半年近く、橋建設に関して動きがまったく見えないことが伺える。
ダバオ市-サマル島に架かる橋には、大きな期待が寄せられている。現状、サマル島に渡るためには船に乗らなければならない。しかし、橋が完成することによって、自由に車で行き来できるようになるため、サマル島の観光がさらに活性化することが期待されている。片側2車線の橋は全長3.98メートルになる予定で、一日に約25,000台の車が行き交うことが予想されている。
さて、先ほどのUy市長のコメントの中で「またCovid-19にかかってしまったら」という内容が含まれていたが、実は市長はCovid-19に感染していたという。そして、その時の苦しみや悲しい出来事についても語った。市長は、3日間危険な状態に陥ったため、再度隔離に入った。そのときは死ぬ前だったと語っている。その後退院することになった市長は、これから再び隔離に入り、PCRテストを再度受けるのを待つという。さらに、家族もCovid-19に感染し、自身の母親がCovid-19で亡くなったことも明らかにした。アイランドガーデン市でもCovid-19感染が拡大しており、6月13日現在で93名が感染している状態となっている。
Covid-19の驚異が猛威を振るう中、橋建設に関する動きは何も見られていない。橋の運用開始は2025年を予定している。コロナ禍が明けたサマル島およびダバオ市は、さらに活気あふれる場所になっているだろう。