フィリピンでは現在、ミンダナオ島に出している戒厳令の2018年末までの延長が、圧倒的多数で議会の承認を得たことを巡り、様々な議論が起こっている。
延長反対派の一人、北ミンダナオの専制政治・暴政反対運動の報道官を務めるローランド・アベージョ氏は、フィリピン南部の軍事的統治は不当で偽装されていると語る。同氏は、ミンダナオ島(特にマラウイ市)における戒厳令の実施は、同都市における紛争中および紛争後に政府軍によって行われたとされる人権侵害について言及し、影響を受けた民間人の状況を悪化させただけだと主張している。
さらに同氏は、「戒厳令は、マラウイでの空爆による国家軍の人権侵害を合法化し、土地、生活、権利を求めて戦う先住民族ルーマドや擁護者を鎮圧するために使われてきた。事実、戒厳令の延長は、薬物に関連した超法的殺人、先住民族ルーマドの避難、違法逮捕と拘禁、嫌がらせなどを悪化させるだけであり、平和という名目ではもはやない」と強調した。
しかし延長に肯定的な人々も多い。延長賛成派の1人、ムスリム・ミンダナオ自治区の議員ジア・アロント・アディオン(Zia Alonto Adiong)氏は「テロに対する脅威は想像上のものでも、遥か遠い地域の話しでもない。今、そこにある危機だ」と延長の必要性について語った。
今回の延長決定について同国のドゥテルテ大統領は、イスラム過激派による武装蜂起は鎮圧したものの、テロ拡散を防ぐため、共産勢力など他の過激派の掃討作戦を続ける構えを見せている。