
ダバオ・デル・スル州およびダバオ・デ・オロ州コンポステラ町は、エムポックス(以下Mpox・旧名称:サル痘)の感染拡大を受け、住民にマスクの着用を義務づけた。
ダバオ・デル・スル州のイボンヌ・R・カガス知事は、2025年5月28日付で発令した「2025年第20号行政命令」において、州内のマグサイサイ町でMpoxの感染が確認されたことを受け、マスクの着用と健康管理の徹底を指示した。
カガス知事は「感染拡大のリスクを抑え、すべての町やバランガイ(行政区)が万全の備えを整えられるよう、地域ごとに予防措置を講じる必要がある」と述べている。
本命令は、ダバオ・デル・スル州の管轄区域内にいるすべての住民および関係者に対し、マスクの着用を義務付けている。マスクは、市場、公共交通機関、オフィス、学校、教会、商業施設などを含む、屋内の公共空間および閉鎖された空間において着用しなければならない。
さらに、身体的距離の確保が困難な混雑した屋外の場所や、特にMpoxの疑い例または確定例の患者と接する、またはケアを行う医療施設においても、マスクの着用が求められている。
地方自治体(LGU)は、以下のような健康対策の遵守を市民に呼びかけている。具体的には、正しい手洗いの実施、70%のアルコールまたはアルコール系消毒剤の使用、公的および共有スペースにおける1メートル以上の身体的距離の確保、咳やくしゃみのエチケットの順守、密閉空間における十分な換気の確保、ならびに家庭、職場、公共の場における頻繁に触れる場所の消毒である。
また、本命令は、発熱、発疹、リンパ節の腫れ、倦怠感など、Mpoxの症状が見られる者について、速やかな報告および隔離を求めている。
本命令に違反した場合は、罰金、地域奉仕活動、その他の是正措置など、国の法律および州の条例に基づき制裁が科される可能性がある。
一方、ダバオ・デ・オロ州コンポステラ町のリーバイ・S・エブダオ町長は、Mpoxおよびその他の新興・再興感染症(EREIDs:Emerging and Re-emerging Infectious Diseases)の拡大を防止するため、マスクの着用および健康プロトコルの厳格な遵守を義務づける「2025年第40号行政命令」を、2025年5月29日付で発令した。
エブダオ町長は命令の中で、「ダバオ地方内の隣接州において、すでにMpoxの確定例および疑い例が報告されており、近隣自治体においても予防措置を強化することが喫緊の課題である」と述べている。
本命令により、同町は、すべての住民および町内に滞在する者に対し、密閉空間でのマスク着用、身体的距離の確保、アルコール系消毒剤の使用、咳やくしゃみのエチケットの遵守、ならびに周囲の定期的な消毒を義務づけている。
ダバオ・デル・スル州の条例と同様に、本命令に違反した場合は、現行の法律および町の条例に基づき、罰金、地域奉仕活動、その他の是正措置などの制裁が科される。
これに先立ち、ダバオ・デ・オロ州保健局は、マコ町においてMpoxの確定例1件および疑い例1件、ナブントゥラン町において疑い例1件が確認されたと報告している。
同州保健局の疫学監視部門によると、すべての患者およびその濃厚接触者は現在、隔離および健康観察下に置かれている。
また、保健当局は、市民に対し、症状のある者との直接的な接触を避けること、適切な衛生管理を徹底し、症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診するよう呼びかけている。
フィリピン赤十字社は、新たに確認されたMpox感染例を受けて健康警報を発出した。同組織は市民に対し、最新情報を常に把握し、症状が現れた際には速やかに対応するよう呼びかけている。
赤十字社は、体調不良者に自宅待機を推奨し、石けんと水でこまめに手を洗うこと、混雑した場所でのマスク着用、できるだけ肌を覆うこと、共有スペースの消毒、そして疑い例を発見した場合はホットライン「143」へ通報するよう促している。
MpoxはMpoxウイルスによって引き起こされる感染症であり、主な症状は発熱、筋肉痛、リンパ節の腫れ、そして顔から徐々に全身へ広がる発疹である。